2011.11.04 Friday
一見普通のホテルにも見える、落ち着いた外装のラブホテルを安藤が選んだのは、
文にとっても、そして彼にとっても最良の選択だったといえる。
如何にもな、いかがわしい場所を選択されたら、
問答無用でその背中を、彼女は蹴り飛ばしていただろう。
「どの部屋にする?」
「どこでも良いから早くしろ」
「お〜怖っ」
「こんないかがわしい場所で、一秒でもお前と肩を並べていたくはない」
「古風だね」
安藤はそう笑いながら、落ち着いた雰囲気の一室を選択する。
初めての場所で、勝手がわからない文は、常に安藤の背後を追った。
それは自衛の意味合いもある。