一見普通のホテルにも見える、落ち着いた外装のラブホテルを安藤が選んだのは、
文にとっても、そして彼にとっても最良の選択だったといえる。
如何にもな、いかがわしい場所を選択されたら、
問答無用でその背中を、彼女は蹴り飛ばしていただろう。
「どの部屋にする?」
「どこでも良いから早くしろ」
「お〜怖っ」
「こんないかがわしい場所で、一秒でもお前と肩を並べていたくはない」
「古風だね」
安藤はそう笑いながら、落ち着いた雰囲気の一室を選択する。
初めての場所で、勝手がわからない文は、常に安藤の背後を追った。
それは自衛の意味合いもある。

エレベーターを降り、部屋に入ると、
彼女はまず視界に入った、
手の平サイズのトーテムポールのような置物を手繰り寄せ、
ポケットに入れる。
(もし、力づくでこられたら、これで……)
物心が付いた頃から武道を嗜む彼女には、
一対一であるなら男相手でも、
組み伏せるとまではいかないまでも、
一矢を報いて逃げる程度の自信はあった。
男女の力の差とは、そこまで大きいものなのだ。
だからこそ、彼女は冷静に、退却の可能性を考えることが出来る。

「さ。じゃあ2回戦といこうか」
目の前でへらへらと笑う浅薄な男を睨みつける。
「ああ。精々楽しませてくれ。
 もっとも、お前のような下劣な男に感じさせられるほど、
 私は安い女ではないが」
彼女は負けじと余裕と侮蔑を含んだ笑みで返した。
ベッドに腰掛け、目を瞑る。
背筋は普段通り美しく伸び、両手は行儀良く膝に揃えられた。
緊張も不安も無い。
あるのは怒りと決意だけ。
そんな彼女を包み込むように背後に座った安藤の手が、
昨晩の録画VTRを見ているかのように彼女の太股に伸びる。
相変わらずの嫌悪感に身を竦めそうになるが、
それを歯を喰いしばって自制する。
前回の安藤の言葉の影響ではないが、
抵抗するということが何故だか悔しく感じる。
平気な顔で、少々蝿が鬱陶しいような素振りで、
この男の愛撫を馬鹿にしてやる。
内心でそう悪態をつきながら、
彼女は瞼を固く下ろし続ける。
しかし相変わらず、安藤の愛撫は遠まわしで、
そしてくすぐったいほどに優しげだ。
それは良作のとは違い、緩急強弱をつけた手つきで、
性的な快感というよりは、血行を促進させるマッサージを、
じっくりと長い時間をかけて行われた。
またしても呆気なく火照らされた身体に、
彼女は少しの後悔を覚える。
(お酒の所為だけでは、無かったのか……)
だからといって、彼女の戦意は幾ばくも喪失することがない。
瞳の奥には、強い決心を宿したままだ。
それでも安藤の老練な指に、
時折強制的に身を捩り、そして声を出させられる。

「んっ……ふ」
後ろからTシャツ越しに乳首を摘まれながら
「かーわいい」と耳元で囁かれる声は、彼女にとって心底不快。
「くっ……黙れっ!…………あんっ」
「気持ち良い?」
「……わけ、ないだろ…………」
「声出てるじゃん」
「ただの……生理反応だ馬鹿が…………ん、っくぅ」
気丈に振る舞いながらも、その辛辣な言葉の合間合間に、
甘い吐息が漏れる。
息遣いが荒く、そして肌にじんわり汗が浮かんでいることに彼女は気付かない。
(くそっ!いい加減にしろ。良作の触り方は、もっと、こう、
 直接的というか、男らしいのに、なんだこいつのは?)
そんな事を考えていると、不意に下腹部に強い刺激。
「あっ!ああぁんっ!」
思わず大きく、甲高い声を上げながら、身を丸めてしまう。
ジーンズ越しに安藤の指が、彼女のクリトリスを強く刺激した。
「いっちゃった?」
その問いに、彼女は「ふぅ、ふぅ」と息を整えながら、無言で首を横に振った。
前回もそうだったが、何故こんな容易く絶頂を与えられるのか、
彼女には理解が出来なかった。
良作とは、一度も無い。
むしろ、痛みを感じることすら多々ある。
愛撫はもちろん挿入でも、だ。
男のプライドを慮ってか、それを口に出したことは無い。
だから、そういうものだと思っていた。
性行為による快感とは、精神的な充足だけ、だと。
それゆえに、肉体的な快感など、こんな奴に与えられるはずはないとタカをくくっていた。
彼女の中に、身体が熱を帯びるのと比例して、ふつふつと焦燥感が沸き起こる。
「ちょいイキって感じ?ま、それでもいいけど。
 じゃあ、せめてその度に一枚服脱いでね」
微弱な電流が流れ続け、気だるい頭の中に、
じわりと思考をくゆらせる霧のようなものが広がる。
「ま、じっくりいきますか」
背後から楽しそう片方の靴下を脱がそうとする安藤の横顔を、
恨めしそうに睨む彼女の瞳には、微かな潤いが湧き上がっていた。


-------------------------------


耳をつんざくような爆音の中、ふ、と自分の体重が消える。
重力というものの存在を、初めて意識させられた。
多少の恐怖と緊張を伴った初めてのフライトは、無事に旅立ちを迎えた。

「ふぅ」
ついつい息が漏れる。
窓の外を見ると、どんどん地面が遠ざかっていく。
地平線が彼方に見え、地球が丸いと実感する。
ほんの少し、自分の世界が広がった気がする。
ただしそれは僕だけの話じゃない。
日本で生活を続ける文ちゃんだって、
新しい何かを得て、成長を続けるんだろう。
帰ってきた時、何も変わっていないと笑われないように、
様々なものを学び、そして得ようと、
豆粒ほどに小さくなっていく故郷を見下ろしながら決意した。



-------------------------------



30分後。
そこには一糸纏わぬ姿で、ベッドに倒れて肩で息をする文の姿があった。
「ん…………あ…………あぁ……」
ぴくぴくと身体を痙攣させ、声にならない声を漏らし続ける文を尻目に、
安藤はベッドの淵に座り、タバコを吸う。
「じゃ、俺の勝ちってことで」
その勝ち誇った言葉に対し、文の講義はない。

玉のような肌がシーツに垂れて濡らしていく。
うつ伏せでベットに倒れる文の、
未だに微かに痙攣する小ぶりで美しい臀部の奥からは、
ちょろちょろと透明の液体が漏れている。
彼女の股付近のシーツは、同円状にシミが広がっていた。

「すげえ潮噴いたね。びしょびしょじゃん」
そう笑いながら、安藤は上着を脱ぐと、
一気にズボンと下着も脱いだ。
一見華奢に見える安藤の身体は、
まるで格闘家のように鍛えこまれ、
筋肉が隆々と存在感を示していた。
「おっと。ゴムゴム。男のマナーだね」
そう言いながら、まさに天を突く、
といった様子で勃起した陰茎にコンドームを着用していく。

それを文は、未だに整えられない荒い息遣いの中、
横目でぼんやりと眺めていた。
勃起した男の性器を見たのは良作が初めてだった。
それとは余りに違う形状のそれに、文が抱いた感情は
(……怖い)だった。
勃起しても人差し指程度の良作とは違い、
手首の根元から中指の先くらいはありそうな長さ。
太さも親指大の良作のそれとは違い、
安藤のは缶コーヒーほどは有りそうなうえ、
亀頭はさらにそれを上回りパンパンに膨れ上がっている。
(良作のは、ピンク色で愛嬌すらあったのに……
 何だあれは?赤黒くて、それに……
 まるで角のように上に向いて曲がっていて……)

ぎっ、ぎっ、とベッドの上を膝で歩いて、
いとも簡単に文を引っくり返して仰向けにする。
彼女には抵抗する余力などもはや無い。
力が入らないのだ。
喉もカラカラで、呻き声しか出せそうにない。しかし、
「それじゃ、いっただっきまーす」
彼女の足を、分娩台に乗せられた妊婦のように抱え上げ、
愉快そうに笑みを零す安藤に向けて、
「や、めろ……」
と掠れた声を絞り出す。
「え?」
「……やめろ」
「だって俺の勝ちじゃん」
「……お前の、粗末なペニスなど、要らないと言ってる」
彼女は嘲笑するように安藤を見下し、自分の矜持を守り抜こうとした。
屈服してたまるか、と。
安藤はやれやれ、と被りを振ると、
片手で、小豆ほどにパンパンに勃起した、
文のクリトリスを強く摘みあげる。
「あっ、ひぃっ!」
まるで電気ショックを受けたように、背中が仰け反り、腰が浮く。
安藤は楽しそうに、ラジカセのボリュームを変えるような気軽な手つきで、
彼女のクリトリスを弄くった。
「あっ!ひっ!いっ、いぃっ!」
吊り上げられた魚のように、ベッドの上でのたうち回る。
その様子を充分楽しんで満足したのか、
「じゃ、挿入るね。おお、とろっとろじゃん」と安藤は、
彼女の陰部にペニスを当てがいながら言った。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
彼女は端正な顔を、悔しそうに歪めながら、
「……屑が」と悪態をつくが、
安藤に広げられた長くすらりとした脚の間に見える、
彼女のすっと縦に線が入っただけの桃色の性器は、
ひくひくとまるで男を求めるように蠢いていた。
安藤芳樹の凶器のようなペニスがそれに当てがわれる。
抵抗しようにも、力が全く入らない。
安藤の巨大な亀頭が、彼女の中へと入り込む。
舌を噛み切りたいほどに屈辱的な光景なのに、
彼女はそれから視線を逸らせない。
嫌なのに。
文字通り、死ぬほど嫌なのに、
自分の身体は、股を開いて、
この下劣な男を受け入れていく。
それほど男性を知らない彼女に、
潮吹きを経験させるほどに執拗かつ狡猾な愛撫は、
彼女の膣内を泡立つほどにぐっしょりと濡れさせ、
そしてそれは、ずぷずぷと、卑猥な音を立てながら、
ゆっくりと、しかし確実に、
やがて彼の陰茎を根元まで受け入れた。


「あっ、ぐぅっ……」
どんな屈辱を与えられようとも、
歯を喰いしばり我慢してやると決意した矢先、
安藤の陰茎が彼女にもたらした刺激は、
大きく彼女の予想を上回っていた。
「っくぅ……あっ……はぁっ、はぁっ」
尋常ではない圧迫感。
痛みは無いが、産気づいた妊婦のような呼吸しか出来ないほどに息苦しい。
おそるおそる視線を下げると、心なしか下腹部が膨らんだ気さえする。
勿論そんな訳はないのだが、それほどまでに、
他人が自分に強く、深く入り込んできた事を彼女は実感する。
「あっ、ん、やっ……やめ、ろ……あっ、くぅっ」
徐々に、安藤が動き出す。
想像とは違い、優しく、身を慮るようなピストンに文は安堵する。
(こんなので、早く動かれたら、壊れる……)
「んっ、ふっ……あっ、あぁ、あっ……くそ、ああ」
しかし彼女は、数分後には考えを改める。
激しく、自己中心的なセックスで、さっさと射精されていたほうが、
何倍もマシだったと。
それで身体を壊された方が、心を奪われそうになるよりも、マシだと。
歯を喰いしばり、普段の澄ました表情からは想像すら出来ない
必死の形相を浮かべる文とは対照的に、安藤の顔はあくまで蛇のような笑みを浮かべたままだ。
相手にまとわりつき、観察を続けるように、
彼の視線は文の艶やかで、官能的な肢体に向けられ続ける。


-------------------------------


初めての空旅。
眼下に広がるひたすらに青い星を眺めながら、
刻一刻と遠くに離れていく恋人と友人を思う。
(それにしても、芳樹君は本当に良い人だなぁ。
 飲み会まで開いてくれて、そのうえ空港まで見送りに来てくれるなんて。
 ああいう友達は大切にしなきゃね。
 帰ってきたら、もっともっと親交を深めたいな)
頬杖を付きながら、外の景色を楽しむ。
白と青。
二色しかないはずの光景は、僕に輝かしい未来を予感させてくれた。


-------------------------------


「ふっ、ふっ、ふっ、あっ、だめ……あぁっ、だめ、だっ…
 …それっ、やめ、ろ!」
「どれ?」
「あっ、ふっ……くぅっ、んっ、あっ、その、それ……ああぁ」
安藤はあくまで優しく、そしてゆっくりと、
その巨大なカリで、文の中を擦り続ける。
挿入当初に感じた、痛みを伴うほどの圧迫感はいつの間にか消え去り、
文の口からは、抑えきれない切ない声が漏れ出す。

「こう?こう?」
文の反応を楽しむように、角度を変えながら、
ゆっくりと、しかし確実に、文の膣内を奥底まで、
その大きな陰茎でぎちぎちに満たす。
「あはぁっ!くそっ!やめっ、ああっ!はっ!ん」
その度に、ぐちゃぐちゃ、と、
二人が交わる箇所から卑猥な音が鳴る。
文はそれが、屈辱だった。
ただの生理反応だ、と自らに言い聞かせるものの、
安藤にピストンされる度、自分の中に、
今まで感じたことの無い充足感が溜まっていくのが、
ありありとわかってしまう。

「はっ、あっ、ああっ、いっ、あっ、くそ……くそ……あっ、あん」
そのちりちりとした感覚は、
塵山のように徐々に下腹部に溜まり、
そして背中を通じて頭を焦がしていく。
「あんっ!あんっ!……あぁっだめ、やめ、ろ……あっあぁんっ!」
いつの間にか、他人が自分の中に侵入してきた、
という感覚は消え去り、
下腹部が、ピストンされる度に熱で溶かされ、
一体どこまでが自分の身体なのかすらわからない。
そんな風にすら思える。
「あっ!ひっ!……ん、ああぁっ!……はっ、はっ、はぁっ」
安藤は穏やかなピストンを、一度完全に停止すると、
上半身を倒し、文の汗ばんだ乳房を揉み上げながら、
乳首を舌で転がした。
「あっ、やぁ……んっ」
ジンジンと痺れる頭の中で、
なんて声を出すんだ、と彼女は自身に憤怒を覚える。
「桐島さん、すごい感度良いよね」
文は返事をせず、腕を額に押し付け、視線を隠す。
「やっぱりあれ?溜まってんじゃないの?
 彼氏がしょぼいと大変だね」
彼女は一度下唇を噛むと、
荒い息遣いと紅潮しきった顔のまま、
「黙れ。屑」と冷たく言い放った。

それを聞いた安藤はにやりと笑い、
乱暴に大きく、一度だけピストンをする。
「あっ!ああぁんっ!」
その蕩けきった声を聞いて、また愉快そうに口端を吊り上げる。
「あはは。面白いね。桐島さん」
そう乾いた笑い声を上げながら、ピストンを再開した。
それは先ほどまでの、ねっとりと彼女の中を愛撫するようなものではなく、
多少の苛立ちを交えた、女を犯す動きだった。

「あっ!あっ!あっ!あんっ!あっ!……んっ、くぅっ!……あっ!
 や、やめ……あっ、そんな、あっ!あっ!……ふぅ、ふぅ」
「ほら。ほら。どう?気持ち良い?」
「あんっ!あんっ!あんっ!……う、るさい……あ、はぁ、ん」
安藤が動く度に勝手に腰が浮き、背中が反る。
口からは自分でも今まで聞いた事がないような声がダダ漏れだ。
(くそ、くそ……くそぉっ)
心の中では、そんな自身への失望と怒りが渦を巻くように沸き上がる。
そうこうするうちに、彼女にとって未知の快感は、
じわじわと身体を侵食するように広がっていった。
「どう?初めて長い間ちんこ入れらた感想は?」
低俗な笑みを浮かべながら、安藤は彼女の両膝に手を置きながら、
ピストンを穏やかなものに戻す。
ひっくり返ったカエルのような格好で、
耐え難い恥辱を感じながらも、
彼女は手の甲を口元に寄せるとその皮を噛んで、
痛みで快感を打ち消そうする。
「……はっ、はいっていたのか、あっ、どうか、わからなかったぞ」
彼女の瞳は、まだ気丈さを失ってはいない。
しかし、
「あんっ!あんっ!あんっ!そこっ、あっ、やめっ、ろっ!」
それも安藤の挙動一つで簡単に崩れる。
彼が腰を振ると、彼女の喉からは甘く切ない嬌声が搾り出され、
美しく肉丘は、弾力とハリを維持したままぷるぷると揺れる。
「そろそろいこっか?」
「はっ、はっ、はっ、あぁ、あっ……さっさと、出せ……」
「いや俺じゃなくて。桐島さん」
「お前のような、男に……あっ、あぁんっ!……くっ……」
「ほら!?ほら!?」
大きく、奥を突くようにピストンする。
「あっあぁんっ!あっ!あっ!やめっ!やめろっ!あっ、そこっ!あっ!」
初めて触れられる、彼女の奥底。
誰にも、恋人にすら触れられたことのない、
女そのものの部分。
痺れるような痛みと、圧迫感の裏に、
頭からじわりと、恍惚感が漏れる。
(な、なぜ?…………そんなっ)
彼女の表層意識は、頑なにそれを認めない。
逞しい男根で、膣内を息苦しいほどに満たされ、
そして子宮口を圧迫されることの、雌としての悦び。
彼女は、それを、認めない。
「あぁっ!あっ!んっ!い、やっ!あっあっあっあっ!」
ただでさえ美しい彼女の肌は、玉のような汗で更に妖艶なものとなり、
それは安藤の性欲を刺激し、ピストンを加速させる。
「あっ、あぁんっ、あんっ!あんっ!……だ、だめだっ!
 やめろ!……あんっ!あんっ!……く、くるっ!何かくるっ!
 はぁっ、あっ!……くぅ……いや……こわいっ……
 あぁっ!ああっ!はっ!あんっ!あんっ!ああああああっ!」

一際大きい彼女の甲高い声が上がった瞬間、
同時に彼女の上半身は、大きく飛び跳ねた。
肘をベッドに突き立て、背中がぐい、仰け反り、
安藤の手が置かれていた膝はピンと伸びた。
びくびくと大きく痙攣しながら、その体勢のまま、固まる。

「うわ、まじ、ちんこ千切れそう」
安藤が顔をしかめる。
五秒。
十秒経っても、彼女の上半身は仰け反り、そして震えたままだ。
ようやく力尽きたかのように、ばた、っと身体から力が抜ける。
彼女の目は焦点が合っていない。
口からは「う……あぁ……」と呻き声だけど漏れる。
安藤が笑いながら陰茎を引き抜くと、
ぷしゃっ、という音と共に、
彼女の陰部から、失禁が噴出した。
身体を震わせながら潮吹きのように、びゅっ、びゅっ、びゅっ、
と数度勢いよく失禁すると、
じょろじょろと、彼女の腰を中心にシミを広げていく。
「まーた潮噴いてる。いや小便かこれ?」
頭を掻いて苦笑いを浮かべる。

「ま、いいか」
そう言いながら、再度挿入する姿勢になる。
いまだ小刻みに痙攣しながら、
「いぃ、ひっ……や、めろ……」
と懇願する彼女の表情は、
肉食動物に追い詰められた獲物そのものだ。
「やめませ〜ん」
切羽つまった彼女とは対照的に、
まるで気軽に安藤は、再び彼女を串刺しにした。
「あっ、ひぃっ……い、いぃ、い、あ、あぁ」
「どう?初めてセックスでイった感想は?」
安藤が無感動に腰を振る度に、
ぴゅるっ、ぴゅるっ、と彼女の尿道から、
透明な液体が、安藤の陰毛を濡らすかのように射出された。
「ひっ、いっ、いっ、あっ、や、やめ、あっ、あぁっ、あっ」
「良かった?」
「あひっ、いっ、あっ、いやっ、あっ、いやぁっ」
「良かったって聞いてんの」
「うっ、うあっ、あっ、あぁっ、あっ、あっ」
安藤は埒があかないと、ピストンを一時中断する。
「ひぃ、ひぃ、ひぃ、ひぃ」
彼女は、端正な顔を歪めながら、息を整える。
まるで泣き顔のよう。
普段からのギャップで、それは安藤をより掻きたてる。

「ね?どうだった?」
いまだ収まらない荒い息遣い。
大きく上下する肩と胸。
彼女は、ぐっ、と息を止めると、
「……下手糞」と、蚊の鳴き声ほどのか細い声で、一糸報いた。
安藤は、それを聞いて、無邪気な笑い声を上げた。
「あっはっはっはっは。いや〜、本当面白いね。桐島さんって」
そう言うと、ゆっくりとピストンを再開する。
その後、安藤が射精をするまで、彼女は幾度となくイカされた。
最早回数はわからない。
ただ数十秒おきに、彼女の膣肉は、
その中を支配する硬く熱い安藤の男根を、
きつく、そして愛おしそうに締め上げた。
何度も、何度も。
勿論彼女の意思によるものではないが、
それは疑いようもなく、男を射精に導く雌の本能。
真っ白な波が頭の中を襲い続ける間、
彼女はそれを理解し、そして絶望した。
やがて安藤が、ゴムを外し、彼女の顔に大量の精液を掛けている間、
彼女は、女に生まれてきたことを呪うと同時に、
女としての悦びを、少しだけ理解した気がした。
おおかた射精しきって、びくびくと震える逞しい亀頭を目前にし、
彼女の身体はかつて感じたことのない、
理屈ではまるで表現のしようもない高揚感を覚え、
後頭部を安藤の手で押されると、
心の中で恋人に謝罪し、
自ら舌を出し、いまだ白濁液が漏れ続ける鈴口をぺろり舐め上げた。



19:25 : 投稿作品 : comments (7) : trackbacks (0)
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Comments

掲載ありがとうございます

って、これ途中で切れますよね?(笑)
作者です...2011/11/04 08:49 PM
GJすぎる
続き期待してます
...2011/11/04 09:06 PM
心でどんだけ拒んでも、身体がそれをゆるさない。この後どうなっていくのか、気になります。
このままどこまで堕ちていくのか、彼氏のもとに帰るのか・・・
...2011/11/04 09:10 PM
続きが気になりますな。
...2011/11/04 09:13 PM
エロ漫画みたい
...2011/11/05 01:35 AM
勃起して人差し指はありえるのか……?
...2011/11/05 01:20 PM
初セックスから当然のように顔射する安藤サイコー。
...2011/11/06 07:40 AM

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