山本安太郎の足取りは重い。
それはうだるような暑さの所為ばかりとは言い難い。
スラックスのポケットに仕舞いこまれたハンカチは、
彼の額から流れ落ちる汗を一日中吸い込み、
もはや用を為さなくなってしまっている。

もう少し足の回転を上げて、早く帰社しなければ、
またどこで道草を食っていたのだと課長にいびられるのは目に見えている。
かといって、早く帰ればそれを回避できるのかといえば、
その可能性は限りなく皆無に等しい。

右手にぶら下がるバッグの中には、
まっさらのままの契約書が山積みになっている。
山本安太郎の名誉のために補足をするならば、
彼は営業中に道草を食ったことなど、ただの一度もない。
そう、ただの一度も。

しかし彼の成績は、部下を苛めることに恍惚を覚える課長でなくとも、
目を覆いたくなるほどに酷いものだった。
重ねて補足をするならば、彼はとても真面目な人間だが、
それに伴い馬鹿正直という性質を併せ持ち、
その性格は厄介な事に、
少々(時には目が眩むほどに)誇張してでも自社商品をアピールしなければならない、
という彼の現在の職務においては、
適正が問題になることは想像に難くない。

しかしその事自体は仕方がない。
人には向き不向きがある。
当然彼だって努力はしている。
営業マン向けのセミナーに自腹で通ったりもした。
問題は、何故彼が突き刺すような胃の痛みに耐えてまで、
そんな仕事を続けなければならないのか、だ。
その理由を説明するには、時計の針を過去に戻さなければならない。
といっても何もそれほど大仰なストーリーがあるわけではない。
むしろ陳腐とすら言える。

彼は技術者だった。
子供のころから温厚で、無口で、しかし思慮深かった彼は、
放っておけば友達そっちのけで、部屋の隅で粘土で遊んでいた。
当然好きな授業は工作で、そのまま工業系の高校、そして大学に進学した。
そしてさらには中小企業ではあるが、技術部門に就職出来た。
給料こそそれほどでは無かったが、
彼は日がな半田ごてやインパクトドライバーに囲まれて幸せだった。

それでも休みの日には、模型を作る程度の趣味しかなかった彼には貯えがあった。
昨年購入した3LDKのマンションには、
同様に昨年結婚したばかりの彼の妻と住んでいる。
名を千鶴と言う。
化粧が薄く、着飾ることも好まないため、
ぱっと見、どこか地味な印象を拭えない女性だが、
よくよく見ると、すっと通った鼻筋に、
厚く大きな唇と、どこかラテン系の美しさを持つ顔つきをしている。
自分自身には無いものを、男女は求め合い、そして惹かれあうとはその通りで、
朴訥とした山本安太郎とは正反対に、
彼女の表情はとても豊かで、まるで太陽のような笑顔を咲かせる。

二人の出会いはお互い社会人一年目の時だ。
いわゆる合コンと呼ばれる集団行動で、
数合わせのために強引に連れられてきた二人が出会った。
山本安太郎は早く帰って、作りかけのジオラマを作りたかったし、
千鶴は千鶴で、下心の見え透いた、
男と女のおべんちゃら合戦にうんざりとしていた。
どこか輪に入りきれなかった二人が、ぽつぽつと喋りだし、
そして連絡先を交換するに至ったのはまさに僥倖といえよう。
その日の合コンでは、他の男性にとっても千鶴は断トツの上物だったため、
後日嫉妬のからかいを彼が受けたのは言うまでも無い。

それまで女性と交際経験が無かった彼だったが、
千鶴のあまり女性を意識させない性格が、
彼のような朴念仁には居心地が良かったのだろう。
千鶴もまた、そんな少し変わった、しかし誠実で優しい彼を気に入り、
最初は友達感覚で続いていたメール交換は、
やがて二人で遊びに出かけるまでに発展した。
こんな楽しい休日の過ごし方があったのだろうかと、
山本安太郎は感激すらした。
そして千鶴も、そんな彼を変な人と笑いながらも、
いつの間にか、彼と会える休日を楽しみに思うようになっていった。
そんな二人が恋に落ち、そして愛し合うまでにはゆっくりとした時間が流れた。
最初は嫉妬をしていた安太郎の同僚や、そしてまた千鶴の友人も、
そんな彼らにやきもきしてか、
野次同様の応援をしだす始末。
本人達としては、ぎゃーぎゃー五月蝿い周りなどお構いなしに、
居心地の良い友達付き合いを、マイペースで続けていた。

安太郎が、人生初の告白をしたのは、
千鶴と出会ってから半年後だった。
千鶴の返事はあっさりとしたものだった。
何を今更。
そんな空気すら漂っていたくらいだ。
プロポーズに至っては、安太郎の冷蔵庫が壊れたので、
二人で家電売り場を見ていたら、
「どうせなら大きいの買って結婚しようよ」
と、まるで晩御飯に回転寿司を誘うくらいの軽さで、
ついつい千鶴が口から漏らしてしまい、
安太郎は安太郎で、
「それもそうだな」と、
何のてらいもなく返事をした。
そして昨年結婚。
22歳から始まった彼らの付き合いは、今年で6年になる。

彼らの未来に、一体何の障害があろうかと、誰もが思った。
しかしそんな楽観的な未来予想図は、いとも簡単に崩れる。
とはいっても、そこまで大した話じゃない。
勤めていた会社が倒産することなど、そう珍しい話ではない。
だからその事態に直面した当初も、二人はそう慌てふためる事はなかった。
彼はこんな時だからこそ、どっしりと構えなければならないと覚悟を決めていたし、
そして彼女も、そんな夫を支えなければと、新婚気分そっちのけで気を引き締めた。
しかしこの世の中。
何かを捨てなければ、得る事は中々に難しい。
独身ならともかく、守らなければならない家族がいる彼には、
希望職務で我侭を言う口など有りはしなかったのだ。

そして慣れない、そしておそらくは適正も無い営業職に就く。
会社の規模そのものは、以前勤めていたところよりも余程大きい。
比較にならないほどの、大企業と言っても良い。
給料はさほど変わらないものの、
それでも傍目から見たら転職を成功したと思われるだろう。
しかし、彼のストレスは、同様に傍目から見ても明らかだったほどで、
それは長年付き合った千鶴の目には、どのように映っていただろうか。

彼は照りつける太陽の中、溜息をつきながら足をのそのそと回転させる。
以前の職場だと、どんなに疲れていても、溜息をついたことなど無かった。
現在、自らお小遣いの削減を言い出した彼にとってのささやかな楽しみは、
模型作成ではなく、外回り中に日陰を探し当てて歩く事だけだ。

「山本君、君ふざけてる?」
眉間を指で押さえながら、野々村課長が彼をなじる。
周りの社員は、またか、と顔を伏せるだけだ。
彼も黙って頭を下げることしか出来ない。
言い訳すら出来ない彼の実直さは、社会生活では仇となることの方が多い。
しかし彼は、文句一つ漏らさず、毎日をそうやって過ごしていた。
そしてその妻千鶴も、そんな彼の境遇と、性格をわかっているだけに、
自身の無力さに打ちひしがれる日々を送っていた。



「おかーーー……っえり!」
彼女に出来るのせめてもの事は、
足を棒にして帰ってくる夫を、笑顔で出迎えることだった。
自分まで顔を下げてはいけない。
多少デリカシーが無くとも、灯りを絶やしてはいけないと理解していた。
そしてそんな妻の気遣いを、山本安太郎は有難いと思いつつも、
自分がそんな思いをさせていると自責の念に囚われていた。
更に言うならば、千鶴は夫がそんな風に自身を責めているとわかった上で、
やはり明るく振舞うことが最善だと、
痛む胸を押さえながらも笑顔を浮かべている。

「じゃっじゃじゃーん!見よ!この牛肉たっぷりのカレーを!」
両手を広げ、大袈裟なジェスチャーで夕食を紹介する妻の頭を、
山本安太郎はそっと撫で、そして感謝の意を伝える。
彼は心から、彼女の存在を有難いと思っている。
黒く絹のような触り心地の良い長い髪。
前髪は揃えて切られている。
どちらかといえば細長い輪郭に、
白い肌と赤い唇が艶かしい。
彼は黙って彼女の唇を奪う。
千鶴は「えへへ」と口元を照れたように歪ませ、
「なんか新婚みたいじゃん」と、指をもじもじとさせながら言った。
実際新婚だろ、と彼が指摘すると、
「そういえばそうでした」とおどけたよう笑い、
「もうずっと一緒だからね。すでに老夫婦の域って感じ?」
と笑い飛ばすと、くるりと踵を返し、そして大盛のご飯をよそった。

「ね?最近ね、友達からパート誘われてるんだ。一緒にやらないって。
 してもいいかな?勿論家事に支障はきたさないようするから」
夜もふけた寝室。
ダブルベッドで枕を並べ、横になった二人。
見慣れた夫の横顔に、そう声をかける千鶴。
友達からの誘いなど、嘘だ。
そう頼めば、夫の気苦労が減ると思ったのだ。

かつて普通のOLだった千鶴は、結婚を機に専業主婦になった。
というのも、それは安太郎からの提案だったのだ。
どちらかといえば彼女は働きたかったのだが、
慎ましい生活を望む二人だったし、
子供ももう暫く後の事になるだろうと彼女も素直に従った。
しかし先行きが不安になった今、
時間があるのであれば、千鶴にも働きに出てもらいたい。
しかし自分から言った手前、頼む事も出来ない。
そんな彼の心情を慮っての、偽りの理由。

勿論彼も、それがわかっていた。
二人は、愛し合い、そして通じ合っていた。
お互いを思いやれる関係が、仇になった、とは言うまい。
「すまない」
山本安太郎は、そう呟いた。
その返答に、千鶴は息を呑む。
そんな一瞬の間を置いて、
「な、なんで謝るの?」と困った表情で笑うことしか出来なかった。
頬を紅潮させ、狼狽する妻を横目で確認した彼は、
「……いや、ありがとう、かな」と言い直した。
どんな時でも、卑屈になったりしない。
千鶴が夫を大好きな理由は、他にも数え切れない。
とにかくそれを聞いた彼女は、ふっと表情を和らげると、
「……うん」と呟き、そしてゆっくりと彼の肩に額を寄せた。
彼はその頭を、少し乱暴にぐりぐりと撫でる。
千鶴は額を彼の胸に埋め、そして満面の笑顔を浮かべた。
「でも大丈夫。別に給料は減ったわけじゃないだろ?」
「……うん」
それ以上は、千鶴も引き下がらない。
男のプライドというものを、彼女はよく理解していた。
しかし、もしこれ以上、彼の心労が溜まるようであれば、
その時は、伴侶として、問答無用で自分が支えるつもりでいた。

今の二人の状況は、決して良いとは言えない。
しかしこの二人なら、どんな苦難も手を取り合って乗り越えていけるだろう。
誰もがそう思っていた。



「山本君。突然ですまないが、今晩君の家にお邪魔してもいいかな?」
野々村課長のそんな申し出を、
上手く断る理由が咄嗟に出てくるほど、
山本安太郎は器用な人間ではなかった。
それどころか、本来人見知りをする彼にとって、
苦手な上司と親睦を深める機会と、
人の良い考えまで浮かぶ始末。
二つ返事でその申し出を了承すると、
その件を千鶴に電話で伝える。

「よーっし!」
受話器を置いてそのまま腕をまくると、
両手で頬を叩いて気合を入れる。
あまり詳しく聞いたことは無いけれど、
その野々村課長とやらが、
夫をあまり気に入ってないことくらいは承知している。
腕によりをかけてもてなせば、
職場の態度も和らげてくれる、
なんて甘い考えがあるわけではないが、
それにしても多少の効果は期待できるかもしれない。
自分が夫の為に貢献できるかもしれない。
その事実が、千鶴にとっては、ただただ嬉しい。

それから数時間後。
「初めまして。野々村といいます」
夫の紹介の後、挨拶をする課長を見て、
千鶴の頭を真っ先によぎったのは、
不良中年、という言葉だった。
浅黒い肌に、年のわりには高身長。
身体も鍛えているのか、お腹が出ている感じもない。
「千主人がいつもお世話になっております」
そんな事を考えながら、出来る限りハキハキと、
そして愛嬌良く、頭を下げる。

「こんな綺麗な奥さんいるんだからもっと頑張らんとな?ええ?」
そう言いながら、箸を進める野々村。
酒が入ってることもあってか、口調や表情は、
職場の彼とはまるで別人のように上機嫌だ。
その様子に、ほっと胸を撫で下ろす山本夫妻。
「ほら。山本君もぐいっといきなさい」
そう安太郎に酒を注ぐ野々村の手は、
その顔や身体と同様に浅黒い。
ゴルフやスキューバでも趣味なのだろうかと、千鶴は推測する。
「それじゃあそろそろお暇するかな」
そう言いながらも、すっかり出来上がって足がおぼつかない野々村。
そんな彼を送ろうにも、彼と同程度に酒が回っている安太郎。
「あたしが課長さん送ってくね」
千鶴はそっと夫に耳打ちをした。
「すまないな。頼むよ」
慣れないペースで酒を付き合わされた彼は、
そう答えるだけで精一杯だった。

「突然すいませんね奥さん」
「いえいえ。大したおもてなしも出来ませんで」
野々村を家まで送る車中、そんな定型文の挨拶を交わす。
「いや、こんな綺麗でしっかりした奥さんが居るなら、山本君も大丈夫でしょうな」
「いえそんな……」
営業スマイルで、そう謙遜するも、千鶴は心の中でガッツポーズを取った。
(よっし!ポイントアップ!)
しかしその高揚した気分は、すぐに水をかけられる。
「しかし、その、なんだ。山本君はね、ちょっとうちの部署向いてないね」
旦那を侮辱された怒り。
しかしそれは純然たる事実だと、妻である自分も理解している失望。
それらが口元を引きつらせるも、なんとか笑顔をキープする。
「そ、その、主人はずっと技術畑の人間でしたので……
 何卒長い目で見て頂ければと……」
「いや私も長い間この世界にいますけどね、
 やっぱりわかるもんですよ。頑張ってどうこうなるレベルかどうかってね」

千鶴は一瞬言葉を詰まらせてしまう。
たとえ何を言われようとも、妻としてフォローをしようと、
事前にいくつもの問答をシミュレーションしていたのに、
有無を言わせぬ空気が、野々村の口調にはあった。
「あの……主人は……」
「む?いや、まぁ……言い辛いですが、無理でしょうな」
その言葉に、下唇を噛む。
確かに彼の言っていることは、正しいのかもしれない。
自分も、夫に営業が不向きだとはわかりきっている。
しかし、やはりどうしようもないほどに、悔しい。
最愛の人が、ここまで真正面からこき下ろされている。
自分の為に、日々心労を溜めてまで頑張っている夫の努力を、
完全に否定された千鶴が感じたのは、
やはり自分の無力に対する失望と、怒りだった。
何も出来ない。
世界で一番大切な人の為に。
ご馳走を作って、作り笑顔を振りまいても、
何の足しにもなりはしない。

信号待ちに引っかかる。
車内には、ねっとりとまとわりつくような沈黙。
やがてそれを、野々村が破った。
「本当はね、今日はそれを本人に勧告しようとしたんですよ。
 もう辞めた方が良いってね。
 そのつもりで、招待されたんですが、
 でも奥さんを見て気が変わりました。
 こんな若くて、かいがいしい奥さんがいるのに、
 路頭に迷うのは幾らなんでも酷だな、と」
「……え?」
その思ってもみなかった言葉に、横を見る。
「私もね、それなりの権力があります。
 といっても決定権まではありませんがね。
 しかし推薦を聞いてもらうくらいの地位には居るのですよ。
 それなりの人脈もね。
 どうでしょう?
 旦那さんを我が社の技術部門に推薦してみましょうか?
 丁度向こうも人手が足りないらしくてね」

千鶴はその言葉に、口をぽかんと開けたまま聞き入る。
やがて後ろから鳴らされるクラクション。
慌ててハンドルを握り直し、前を向いてアクセルを踏んだ。
「ほ、ほほ、本当ですか?」
あまりにも現実感のない、降って沸いて出たような話に、
彼女はその場で踊り出してしまいそうになる。
しかしやはり、その高揚は、すぐに水をかけられることとなった。



千鶴が家に帰ると、安太郎は既に寝息を立てていた。
きっと彼女を待っていたのだろう。
彼は台所の食卓に突っ伏していた。
「慣れないお酒なんか飲むから……」
その寝顔は、どことなく苦しげだ。
口には出さないが、余程今の仕事にはストレスが溜まっているのかもしれない。
いっそのこと、八つ当たりでもいいから、
愚痴ってきてほしいとも彼女は思う。
「もう……風邪引くよ」
苦笑いを浮かべ、背中にタオルケットを掛ける。
彼女の目には、その背中がやけに寂しく映った。
今までは、何だかんだと頼りになる背中が、
どこか儚げで、そして小さく見えてしまった。
そんな寝顔を眺めているうちに、彼女の決意は固まった。
一度伸びをして、両手で頬を叩いて気合を入れると、
彼女は携帯電話を開いた。



翌日の昼休み。
山本安太郎は、またしても一件も契約が取れず、
漬物石を足に引きずるかのような足取りで会社に戻る。
しかし成果無しを報告するも、
課長の表情に険しさはない。
それどころか
「まぁこんな暑くちゃやっとれんだろう。ご苦労さん」
と労いの言葉をかけてくれた。
その上、
「山本君。昼から手は空いてるかね?
 いやなに、開発の方で急な休みが多くて人手が足りなくなったらしくてな。
 大した仕事じゃないが、手伝いにいってやれんか?」

その申し出は、彼にとっては渡りに船だった。
たった半日でも、今の仕事から解放される。
彼は二つ返事で了承した。
「そうか。向こうの課長さんには言っとくからよろしく頼むよ。
 私はこれから外出でね。
 まぁ何かあったら向こうの人に聞きなさい」
彼は課長のそんな言葉に軽く頭を下げて、
そして席に戻った。
千鶴の作った弁当を開けながら、
一体何をやらされるんだろうと思案に耽るも、
考えたところで答えはない。
結局は、愛する人のために働くだけだ。
その日の弁当は、彼の好きな唐揚げが大量に詰め込まれていた。



ところかわって、山本安太郎が勤める会社から少し離れた繁華街。
その中に佇む、わりと品の良さそうなラブホテルの一室。
浴室から漏れてくるシャワーの音を背中に受けながら、
ベッドに腰掛け、幾度となく溜息を繰り返す千鶴の姿があった。
「はぁ……」
その表情は、付き合いの長い安太郎が想像すら出来ないほどに重い。

時は前日の晩に遡る。
突然の美味しい話に、有頂天で車の運転を続ける千鶴。
その太ももを、優しく課長の手が撫でる。
「しかし、それはとても骨の折れる作業でしてな。
 多少なりとも私が責任を負わされる部分もありまして。
 それほど愛着もない社員の為には中々腰が重いものでしてね。
 お互い大人です。
 わかりますよね?」
そう言いながら、ゆっくりと千鶴の太ももを、
円を描くように撫でる。
そのおぞましい感触に、千鶴の背中に悪寒が走る。
しかしその言葉の意味を一瞬で理解した千鶴は、
それを乱暴に振りほどくことも出来なかった。
「ここで結構ですよ。
 それではお返事お待ちしております。
 ああお返事は近日中に頼みますよ。
 そんな空席は、いつまでも空いてないでしょうしね」
胸から万年筆を取り出し、紙切れに何かを書くと、
それを黙ったままの千鶴の太ももに置いて、
野々村は車を降りていった。

千鶴の視界は嵐に遭遇した船乗りのように揺れていた。
こみ上げる吐き気をなんとか我慢し、その紙切れを覗くと、
そこには予想通り、連絡先が書いてあった。

そして現在に戻る。

「ふぅ、奥さんもどうですかな?」
浴室から、腰にタオルを巻いただけの野々村が出てくる。
「……いえ、結構です」
家で浴びてきた、ということは口に出さず、自身の胸に仕舞いこんだ。
ただ『作業』の過程を一つでも減らしたかっただけなのだが、
わざわざ準備をしてきたなんて思われるのも癪だったのだ。
野々村は乱暴に千鶴の横に腰を下ろすと、
鼻先を彼女の首筋に近づけ、
「そうですか。うむ。先日も思いましたが、良い匂いしかしませんね」
とうすら笑いを浮かべて言った。
「……っ」
言葉にならない嫌悪感に、身を翻して逃げたくなる。
しかしこれは『接待』であって、そしてただの『作業』だ、
と自分に言い聞かせる。
目を瞑り、じっとしていればすぐに終わる。
左手の薬指を強く握る。
ひんやりとした感触が、彼女の覚悟を奮い立たせる。

「ああ、そういえば、昨晩の話があったから、
 というわけではないのですが、
 今日臨時で山本君には開発の手伝いに行ってもらいました。
 たいした仕事ではないでしょうが、
 彼にとってはリフレッシュになるんではないでしょうかね」
その言葉に、彼女の心は少し暖かくなる。
「あ……ありがとうございます」
はたして礼を言う必要などあるのだろうかと、彼女は密かに自問する。
しかしこの男の機嫌を損ねるわけにもいかない。
「いえ、まぁ今回のはたまたまですよ。
 ただうちの部署の仕事は、やはり今日もてんで駄目でしたからね。
 このままでは遅かれ早かれ、人員整理の的になるでしょうな。
 そうするとまた慣れない仕事に就くしかなくなる、と。
 今ならウチの会社の技術部門で、空きがありますからな。
 まぁ、賢明なご判断だと思います」

身体を縮こませ、小さく座る千鶴の肩を抱き寄せ、
彼女に現実を再確認させるかのように、
ゆっくりと、歯切れ良く、そして優しく諭すように
野々村課長はそう耳元でそう呟く。
甘い脅迫。
千鶴にとっては、それ以外の何物でもない。
しかしそれに縋るしかないのも、また事実だった。
本当にそうだったのだろうか。
軽率な考えだったかもしれない。
しかし、今となっては、逃げる事も出来ない。

夫の為。
脳裏に浮かぶ、安太郎のはにかんだ顔が、千鶴のそんな迷いを断ち切る。

課長の両手が、千鶴の脇から伸び、そしてポロシャツ越しに、
その豊かな胸を包み込んだ。

「ほう、なかなかありますな?」
「……そ、そうでしょうか」
あからさまに無視をするわけにもいかない。
彼女は、俯いたまま、力なくそう答える。
「どれほどあるのですか?」
その乳房を、下から持ち上げるように揉みながら、
問いを続ける。
「……D……くらいです」
「ほう、スレンダーな体型かと思ってましたが。
 なかなかにグラマラスな身体をしてらっしゃる」

そんな会話をしながら、野々村は千鶴のポロシャツを捲り上げると、
その浅黒い手を、ブラの内側に滑り込ませ、
直接その白い肌と、そして瑞々しい弾力を両手で楽しみ始めた。
白く美しい千鶴の乳房を、少し乱暴に揉みながら、
野々村は口を開く。
「やはり、若い方の肌は違いますな。
 しっとりとした触り心地。
 張りや弾力も素晴らしい。
 うちの女房とは比べ物になりませんね」

千鶴は、耳まで真っ赤にして、その言葉を聞いていた。
顎を少し引き、唇を噛み締め、そして目にはうっすらと涙が溜まっている。
ただ黙って身を任せる千鶴に、
野々村は会話を要求するかのように、
「ねえ?」と尋ねながら、
二つある桃色の突起を、強く同時に摘んだ。
「……んっ」
突然の刺激に、身を捩る千鶴。
「山本君が羨ましいですよ」
そう言いながら、また乳首を強く摘む。
「あぁっ……そんな……事ないです」
「ご謙遜される事はありませんよ。
 とても綺麗です」
今度は、やさしく撫でるように、乳首を指の腹で撫でる。
「……んっ……いえ……そんな」
出来るだけ、いつものように振舞おうとする千鶴の返事。
しかしその上半身は言葉の合間にくねくねと動き、
そして声もどこか上擦ってきている。

やがて千鶴の上半身の、その肌が全て露にされる。
彼女の細い腕が咄嗟に、その血管が浮き出るほどに白い胸元を隠す。
千鶴のそれとは全く対照的な、野々村の黒く太い腕が、
それに手をかけると、一瞬の強張りを見せた後、
彼女の両腕は、引力に引かれ、そして野々村の目には、
美しい、千鶴の乳房が映った。
「これは素晴らしいですね。
 まさにお椀のようだ。
 ここも、桜色、という表現がピッタリですな」
野々村は落ち着いた口調でそう口にしながら、
千鶴の背中から右手を回し、
美しく盛られた山を、天から押し潰すかのように、
彼女の乳首ごと揉みしだく。

そしてそのまま、人差し指と中指で、
桜色の突起を優しく挟みこんだ。
「……っ!」
千鶴は口を一文字に結びこんだまま、
その刺激に声をあげることを我慢した。
しかしその身体の反応は、
野々村に下卑た質問をさせるには、
充分すぎるほどに明らかだった。
「おや?やはりここがお好きですかな?」
そう言いながらも、乳首を挟む力を増していく。
「…やっ……わかり…ません……んっ…」
返答を濁すという千鶴のささやかな抵抗は、
そのかすれた声と、そして排尿行為を我慢しているかのような足の動きで、
むしろ野々村を悦ばす結果となってしまった。
そして余った野々村の左手が、ジーンズの下の、
更にはショーツの下に潜り込んでいくと、
どれほどに千鶴の身体が反応していたかを、
彼に教えることとなった。
しかし千鶴は、自分の股間に伸びる野々村の手を、
阻止しようとは思わなかった。
それくらいのことは、とうに覚悟が出来ていたから。
しかし数秒後、ジーンズから引き出された野々村の指を見て、
彼女の頭は、一瞬で茹で上がった。
口元を軽く微笑ませて、千鶴の目の前で、その指を開閉させる野々村。
そこには、透明の粘液が、指の間にアーチを掛けるが如く糸を引いていた。
(やだっ……)
強くそう思いながらも、千鶴はそれから目を離すことが出来ない。
信じられなかった。
しかし目の前に突きつけられた現実から生まれる羞恥は、
彼女の頭だけではなく、身体にもこっそりと火をつけることとなる。

うっすらと汗ばむ千鶴の肌を確認すると、
野々村は彼女の顎を掴み、そして顔を寄せる。
「あっ、だめ……」
千鶴は慌てて首を振り、それを回避する。
そして首を捻ったまま、
「……すいません」と小さく謝った。
野々村は小さく溜息をつくと、
「ふむ、まぁ良いでしょう。
 何も私は、無理矢理犯したいわけではないですからね」
と、あくまで紳士的な口調でそう言った。
「その代わり、下は奥さんが脱いでもらってよろしいかな?」
野々村のその言葉に、千鶴はゆっくりと立ち上がると、
そしてジーンズのボタンに手をかけた。

するすると、やはり白くなめらかな肌が露になっていく。
すらりと伸びた脹脛とは対照的に、
その上部に位置する太ももには、健康的にむちむちと肉がついている。
「ブラもそうでしたが、なかなかシンプルなセンスをお持ちで。
 いや私は好きですよ」
それも彼女の小さな小さな抵抗の一つだった。
出来る限り地味な下着を着用することで、
彼女は自分のちっぽけなプライドを守りたかったのだ。
しかし予想とは反し、目の前の男は、
その薄い水色の下着に萎える様子は無く、
むしろその股間の盛り上がりは、
スラックス越しにもよくわかる程になっていた。
「さぁ、その可愛らしい下着もお願いしますよ」
野々村はそう言うと、自分のネクタイに手を掛けた。



「どうかしました?」
自分を先導して案内していたはずの、別の課の社員が、
立ち止まって振り返るとそう尋ねてきた。
いつの間にか、ぼんやりとしていたのだろうか。
「いえ、なんでも」
山本安太郎はそう答える。
虫の知らせというものだろうか。
自分と同じくらいの年の、その社員の背中に付いて歩きながらも、
廊下の窓から横目で空を見上げる。
綺麗な青空だ。
今頃千鶴は、鼻歌でも歌いながら、洗濯物を取り込んでいるのだろうか。
山本安太郎は、自分が居ない家で、
楽しそうに昼下がりを過ごす嫁を想像する。
それは、彼にとっての幸せ。
ビスや接着剤で何かを作る以上の幸せがあるとは、
学生の頃の彼なら想像も出来やしなかっただろう。
彼女の笑顔を守りたい。
彼女を愛していたい。
それだけを思い、彼はどんな仕事だってやり遂げる覚悟を持てた。



薄ピンク色のコンドームが着用された、
ぐい、と上を向いた野々村の性器が、千鶴の膣口にあてがわれる。
彼女にとっては目を背けたくなる光景に他ならない。
そのはずなのに、命令されたわけでもないのに、
千鶴はそれから目を逸らすことが出来なかった。

ここ数ヶ月、千鶴と安太郎は一切の性交渉が無かった。
それは単純に、安太郎の疲労によるものが大きかった。
千鶴も性欲が強い方ではない、と彼女自身がそう思っていたため、
それを問題とは考えていなかった。

しかし彼女の奥底には、着実に、日々塵のように降り積もる何かがあった。
この特殊な状況と、そして女性を知り尽くしているかのような野々村の愛撫は、
それらを吹き上がらせるには、充分すぎたようで、
彼女自身は冷静なつもりだったが、いつの間にかその両頬は赤く染まっていた。

夫のよりも、やや大きい野々村の亀頭が、
若干の抵抗の後、ぬるりと千鶴の中へと飲み込まれる。

(やだ……硬い……)

声など一切出すものか。
彼女のその決意が続いたのは、野々村が腰を押し出し、
そして彼が根元まで彼女に埋まるまでのわずかな間だった。

「……あっ」

咄嗟に出てしまったその声。
直後、千鶴を襲ったのは、大きな罪悪感と、そして後悔。
こんなこと、やめておけば良かったと、
今更思ってしまう自分の愚かさが恨めしい。
しかし、まったく別の言葉が彼女の頭をよぎる。

(気持ち……良い)

それは反射。
生理反応。
感情でどうにかなるものではない。
むしろ抑えようとすればするほど、膨れ上がっていく。
しかし千鶴は、それを認めることが出来ない。

「んっ、んっ…………ふっ……はっ、あっ、あっ」

野々村がゆっくりとピストンを開始すると、
千鶴の口からは、息を切らした犬のような声。

「はっ、はっ、あっ、んっ、あっ」

(あなた……)

千鶴の手が、シーツを強く掴む。



「もうこんな時間か」
高揚した気分を抑えきれず、ついつい独り言を漏らす。
目の前には、頼まれた作業で完成させていった基盤の山。
様子を見に来た開発の社員が、驚きの声をあげる。
「おお!山本さん速いですね。さすがだなぁ」
「いえ、そんな……」
「これだけやってもらったら充分すぎるくらいです。
 もう戻ってもらって結構ですよ。
 本当にありがとうございました。
 そちらの課長さんによろしく伝えといてください」

本当は少し名残惜しかったけれど、山本安太郎は席を立ち、
頭を下げて作業室を後にした。
少し、いや大分と気分展開になったようで、心の凝りが取れた気すらする。
やはり、自分にとっての天職、
というものはあるんだろうな、と一人ごちる。

正直なところ、未練が無いはずはない。
しかし、前職を過去のものを割り切れている自分もいる。
そう思えるのは、やはり自分の命よりも、大事なものがあるからだろう。



「あっ、あっ、んっ……いっ、あっ……か、課長……さん」
「何ですかな?」
「んっ、あっ……そ、その……あっあん!……すこし、あっあっ」
「激しい、ですか?」
「あっあっあっ………は、はい……んっ、くぅ、はっ……あぁん」
薄暗い証明の下、千鶴の上に野々村が覆いかぶさり、
そして獣のように腰を振っている。
千鶴の小さな足先は、野々村にしっかりと握られ、
そして抱き上げられている。
夫ではない男性に、全てを見せ付けるかのように、
足を大きく広げられ、正常位で挿入された千鶴の顔は、
ペンキをぶちまけられたかのように赤い。
彼女自らその口元に押し付けている手の甲からも、
どうしようもないほどに甘い声が漏れ続けることに、
彼女自身が失望し、そして困惑していた。

(や、やだ……なんで?こんな……久しぶり、だから?)

激しいのが嫌、なのではなく、
このままこのペースでされると、
すぐに昇りつめてしまいそうだと、わかってしまった。
挿入直後は違和感や、少々の痛みがあったのに、
時折嫌悪感や罪悪感、そして羞恥や貞操も、
どこかへ消えてしまいそうなくらい、
野々村の肉棒は、千鶴の奥深くをまさぐるように、
優しく、そして時に乱暴に突いた。

「こ、こんな……あ、はっ、ぁ……んっ…だめ…あっ、あぁ」
もはやその声は手の甲では押さえきれず、彼女の口元には、
手元から手繰り寄せられたシーツが噛み締められている。
野々村は千鶴の、その屈辱と快感にまみれた表情を見下ろし、
そしてピストンを繰り返しながら、
快感に抵抗を続ける彼女に声を掛ける。
「奥さん、やけに締まりが良いですね。
 もしかして、ご無沙汰でしたか?」
「あっあっ……う、あっ……そ、んな…あっんっ」
「どうなんですか?」
乱暴なピストンに切り替える。
「あっ!あっ!あっ!……だ、だめ!課長さ…あっ!あんっ!
 そ、それ……だめ!はげし……あっ!あっ!んっ!あんっ!」
シーツからも手を離し、千鶴は急いで両手で自分の口を抑えるが、
そんなものに最早効果は無く、その指の間からは、
雌の声が素通りしていく。

(……なに?これ)
挿入直後から感じる、今まで感じたことのない刺激。
野々村が奥を突く度に、下腹部から脊髄を通って、
脳天にちりちりと緩やかな電流が流れる。
特別、性器を大きさを感じるわけではない。
もちろん久しぶりだから、多少は膣が敏感かもしれない。
しかしそうではない。
それは千鶴にとって、初めての感覚。
だからなかなかそれが快感、とも認識ができない。
野々村のカリが、何かをやさしく引っかく。
その度に、ふつふつと何かが背中をつたって昇ってくる。

「どうなんですか?」
同じ質問。
しかしその腰は、先ほどとは打って変わってねっとりと、
円を描くような動きに変わる。
「う……あ……は、はい……あ、そこ……」
「いつ振りなんですか?」
「い、今の……あん…仕事に、あ、就いてから……です」
「それだともう数ヶ月もですね。
 奥さんご不満だったでしょう?」
「あんっ、あ!そんな………………こと……」
「ご自分で処理なさってたりするんですか?」
「や、やだ……ん、あぁ…あ、あ……」
「するんですか?」
大きく一度ピストン。
「あっあぁんっ!……し、します……」
「どれくらい?」
「週に……一度……くらい」

屈辱だった。
しかしそれ以上に、怖かった。
質問に答えなければ激しく突かれ、
それはこの男に絶頂を与えられ、そして夫の顔を、
あの真っ白な波にかき消されることが。
それもよりにもよって、こんな男との性行為で。
それは、彼女にとって、何よりもの恐怖だった。
肉欲に溺れたことなど、これまで一度も無い。
むしろ面倒臭いと思う事の方が多かった。
しかし、野々村の老練な愛撫は彼女の身体を火照らせ、
そして壮年とは思えないほどに、硬くいきり立ったその肉棒に、
数ヶ月ぶりの千鶴の膣は、彼女の意思とは関係なく、
止めどなく愛液を流し、そして白濁させ、
ついには、野々村のピストンで軋むベッドの音と共に、
部屋中に卑猥な音を立てていた。

このホテルに来る前、千鶴はある点を迷っていた。
要は、演技をしてまで、『接待』をするべきか否か。

「あんっ!あっ!あっ!んっ!はぅっ!」

野々村の機嫌を取るために、わざと嬌声をあげたり、
身を捩ったりするべきかどうか。

「やっ!…ぁんっ!だめ!課長さん!……そ、そこ、あっ!あんっ!」

今となってはとんだ笑い種だ。
テンポ良く軋み続けるベッドの上で、
野々村に言われた通り、自分で自分の膝を抱え、
そして夫以外の男性の侵入を許し、
あまつさえ、我慢しきれないほどに感じてしまっている。

「そこダメっ!あっあっ!きちゃう!ダメ!……だめぇっ……」

いっそのこと、野々村本人から、声を出せと脅されたほうが余程マシだった。
しかし現状は、これだ。
今や彼女の矜持とは、やがて訪れるであろう絶頂に、どれだけ声を我慢できるか。
それだけだ。
今はもう、自分から腰を振るのと、
キスをねだるのを我慢するだけで精一杯。

「あっ、イクっ!イっちゃう!……あっ!だめっ!イク!あっ!んっくぅっ!
 ……おねがい課長さん……だめっ!……あっ!あっ!あっ!あんっ!」

6年間時間を共にした夫ですら、殆ど感じたことのない性行為による絶頂。
いとも簡単にそれを与えられる。
その罪の意識は、色濃く千鶴の表情と口調に表れていた。

「恥ずかしがることは、ありませんよ。
 奥さん。浮気は、初めてですか?」

「こ、これは浮気じゃ……あっ!あっ!やぁっ……んっ……はぁ…
 そんなの…あはっ…ぁん…あるわけない……あっあっあっあっ!」

「でしたら、仕方ないですよ。
 その快感は、きっと背徳感によるもの、でしょうからね。
 それは、奥さんが、山本君を、強く愛している証拠なのです」

そんな馬鹿らしい言葉にも、千鶴はただ愚者のように縋るしかなかった。
そうでなければ、とても理屈では説明できないこの快感。
あってはならない。
夫以外に肌を晒け、そして重ね、あまつさえ、この蕩けきった顔と声。
千鶴は無意識に、言い訳を探した。
自身が持つ夫への愛が本物であるという理由を欲した。
そうでなければ、心と身体がバラバラになってしまいそうだったから。
しかし本来ならば、そんなものを探す必要など無いのだ。
有り余るほどの夫への愛が有ったからこそ、今この場で、
こんな男に抱かれているのだから。

しかし、そんな正論は、今の彼女の頭には無い。
下卑た取引を持ち出すような男に、
早くも絶頂を与えられようとしている。
そんな自分への嫌悪と、失望しかなかった。
そしてそれを全て覆いかぶすほどの、快感。
もしかしたら、それらは最初から表裏一体なのかもしれない。
とにかく野々村課長のその言葉は、
絶頂寸前の千鶴には、
格好の甘い言い訳となった。
それに縋り、身を快感に委ねる。
心までは離さないと決意して。

「イっ!イクっ!あっ!ダメ!課長さん!……あっ…ああああ
 ……ああああッ!ダメイクっ!……イクイクイクっ!……あっだめぇっ!!!」

気がつけば、自分の両手足は、野々村を手離したくないかのように下から抱きしめている。
そしてその瞬間はやってきた。
頭の芯で、火花が散り、そしてそれは爆発した。
全てが真っ白で、何も考える事は出来ない。
自分の事も、愛する人の事も。
二人の穏やかな将来も。
その白い砂嵐は、全てを一瞬で巻き込んだ。

やがて、少しずつ彼女の意識は世界に戻っていった。

微かに聞こえだしてくる荒い息遣い。

圧し掛かる、ごつごつとした身体の感触。

そしてなにより、自身の奥深くで、小さく痙攣をしつつも、
いまだ硬く、そして熱いままの、男そのもの。

ゴム越しに、射精の感覚を感じる。

勢い良く、そして多量に出てるのがわかる。

その感触は、いまだ余韻が続く彼女の絶頂を、
緩く、そして甘く続かせる。

さらに意識が明確になってくる。

すると、唇に暖かく、そして柔らかい感触。

それは、他人の唇が、重ねあわされている証拠。

(やだ……キスは嫌……)
そんな彼女の感情とは裏腹に、
次第に冷静になる彼女の感覚は、
ある現実を捉える。

(……え?なんで?)

唇を重ねながら、さらに熱く、そして柔らかい感触。

千鶴の舌と、野々村の舌は、つながっていた。
絡め合い、そして愛撫しあっていた。
それも一方的なものではない。
どちらも、相手を求めるかのように舌を突き出し、
そして、舐め合っている。

(嘘……やだ……)

千鶴のその感情は、本物だった。
しかし、身体が、彼女の舌が、
野々村のそれを求めたのも、また事実。

その証拠に、彼女の両手足は、いまだ野々村の背中に回されたままで、
そして女の本能なのか、精子を求めるがために、
その指先、そして舌先は男を愛撫し、
残りの射精も促すかのような動きを見せていた。

ようやく視界が戻る。
当然、目前に野々村の顔。
嫌悪感しかないはずなのに、
しかし舌をからめあい、そして唾液を交換することが、やめられない。

その余りの気持ち良さ、そして気持ち悪さに、
彼女は混乱した。
今すぐ目の前の男を突き飛ばし、逃げ出したい気持ちと、
いつまでも、こうして舌を絡め合っていたい気持ちが同居する。

(……やだ……ほんと……なんで?)

しかし結局は、快感に流される。
彼女の舌は、野々村の舌と唾液を求め蠢いた。
それはどうしようもないほどに、彼女の意思だった。

ようやく離れていく野々村の舌を、
追いかけるように舌を突き出してしまい、
まるでキスをおねだりしているかのよう。

「良かったですか?」

正直に答えれば、キスをしてもらえるかもしれない。
そんな考えが脳裏をよぎる。
しかしその片隅には、夫の顔が、
ほんの小さく残っていた。

未だに野々村から与えられた絶頂は続いている。
身体は軽く小さい痙攣を続けている。

しかしそんな状況でも、やはり彼女は実感する。
夫を愛していると。
あの人が、好きなんだと。
心から強く、感じる。

彼女はしっかりと目を見開き、
だらしなく空いた口を真一文字に結び、
そして、首をゆっくりと横に振った。
その際、いつの間にか溜まっていた涙が、目尻から頬へ零れる。

野々村は微笑み、そして彼女の額に素早く、そして優しくキスをした。

唇じゃなくて、寂しい。
そんな事、思うものか。
千鶴は、心の中で、そう悪態をつく。
しかしそれは、やはりただのやせ我慢。

とにかく電流が流れたままの身体を、何とか引き起こすと、
無言で、のろのろと衣服を手に取る。

「良かったら、延長しませんか?」

背後から胸元へ伸びる手。

千鶴は痺れが残る手で、それをゆっくりと払いのけると、
「……それじゃあ、例の件、よろしくお願いします」
と毅然とした態度で、振り向きざまに頭を下げた。

シャワーも浴びずに、思い足取りで部屋を出て行く千鶴の背中を、
愉快そうにベッドの上から見送った野々村は、携帯電話を取り出す。

「もしもし、私だ。手伝いの方はどうだ?
 ……そうか、ご苦労。今日はキリが良いとこであがってくれ。
 ……そういえば昨晩のお礼を言ってなかったな。
 ごちそうさん。
 なかなか、美味しかったぞ」

電話を切ると、
「お前の嫁さんな」
と一人呟いた。



ホテルを出た千鶴は、嗚咽を漏らしながら、家路を急いだ。
まるで叱られて家を飛び出した子供のように。

家に上がると、すぐにシャワーを浴びた。
隅々まで、痛いくらいの力で擦る。
一息つくと、浴槽に手を置き、そのままうずくまる。
もう涙は出ない。
それでも、彼女は泣くことを止めれなかった。

自分は夫を裏切ってしまったのだろうか。
口が裂けても、力になれたなどとは思えない。
結局、それを言い訳にして、肉欲に溺れてしまっただけではないのだろうか。
あの一瞬、全てを忘れ、身体をあの男に委ねてしまった事実は、
彼女の胸を強く締め付けた。



「そんな大した仕事じゃなかったけどね。
 技術サンプル品の基盤に半田でコンデンサー付けるだけだったから。
 ちょちょいってやったよ。
 久しぶりだったから、ちょっとなまってたけどね。
 でも流石に開発の新入社員の子よりは早かったんだ」

相槌を打ちながら、笑顔が引きつっていないかを心配する。
珍しく饒舌で、上機嫌に言葉を紡いでいく夫を見て、
千鶴の心は少しは和らいだ。
しかし同時に、夫がどれだけ今の仕事で無理をしているのかを再確認もする。
とにかく自分のしたことは、けして無意味ではなかった。
この笑顔を守るためならば、
あの程度の屈辱、なんてことはない。
そう思わなければ、罪悪感に押し潰されそうだった。

その晩は、まるで子供のように安太郎の胸に抱きつき寝た。
額を胸に押し付け、夫の匂いを身体の芯まで吸い込むかのように。
本当は抱いて欲しかったが、疲れているだろうし、
なにより、色々と怖かったのだ。
自分が、無意識に、あの快感と比較してしまうのではないかと。

「なぁ千鶴」
不意に声を掛けられて、鼓動が早まる。
「な、なに?」
「すまないな。心配ばかりかけて」
「……そんなことないよ」
「だけど俺、大丈夫だからな。お前のためなら」
「うん……ありがと」

本当なら、涙が出そうなくらいに嬉しい台詞。
しかし今は、別の意味で涙がこみ上げてくる。
千鶴は夫の胸の中で、
懺悔と謝罪を繰り返しながら、
多少の安穏を取り戻しつつ、
深い眠りの中へと落ちていった。



それから一週間が経った。
二人の生活に、特に変わりは無い。
朝出掛けるときの、安太郎の足取りは、相変わらずどことなく重いままだ。
しかしそれを、妻に悟らせないようにする彼の努力は慎ましい。

千鶴はそんな夫を毎日眺めながら、少し焦れていた。
大きな会社なのだから、そんな簡単に人事が動くわけがない。
そう理解しつつも、何の進展も無ければ、
連絡すらない現状に、歯噛みをして待っている。

そんな折、ようやく彼女の携帯に、野々村から連絡が入る。

「やぁ奥さん。一週間ぶりですな。いやいや、お待たせしました」
「は、はい。それで、あの、例の話は……?」
「ええ安心してください。流石にまだ決定とはいかないですがね、
 上手く事は運びそうですよ。
 実際の異動までは、もう少しお待ち下さい」
「そ、そうですか……ありがとうございます」
その言葉に千鶴は胸を撫で下ろす。
これでもう、何も心配は要らないのだ。
あの事は、もう忘れよう。
何かの夢だったのだ。
そう考えた矢先の、野々村の言葉。
「それで、よろしければ、もう一度、どうですかな?」
「……は?」
「いやなに。お恥ずかしい話ですが、
 先日の奥さんとの行為がなかなか忘れられなくてですね」
「……一度だけ、というお約束のはずです」
「ええ、そうなんですがね。
 ただ奥さんも、久しぶりということもあってか、
 だいぶ悦んでらっしゃったようですので」
「そ!そんなこと……ないです」
語尾に近づくにつれ、細く弱くなっていく千鶴の声。
「そうですか。まぁ無理強いはしませんよ。
 ただ私も人間ですので、やはり報酬があるのとないのでは、
 仕事に対する意欲は違ってきますからね」
野々村の口調はあくまでも穏やかで、
紳士的と言っても過言ではないものだったが、
その言葉の裏には、明らかな脅迫が含まれていた。
受話器を握る強さが増す。
無限に思える数秒の静寂の後、
「……最後、ですから」
と怒りを隠しきれない千鶴の声。
「ええ勿論です。
 私にも妻子がいます。
 いつまでも、こんな火遊びをしてられませんからね。
 どちらにせよ、私がその気になれば、
 すぐにでも異動になると思いますしね。
 そうすれば、もう奥さんが私と会う必要も無くなります」
アフターフォローも忘れない。
しかしそれは彼女を慮っての言葉ではない。
ただ、自分の都合の良いように、
彼女の背中を押してやっているだけだ。

時間と場所を指定される。
受話器を切ると、しばらくその場で立ち尽くした。
その両拳は、強く握られている。
その怒りは、野々村の卑劣さだけに向けられているのではない。
もう一度、あの男に抱かれる。
その現実を目の当たりにして、
かつての快楽を、身体が思い出してしまっている。
それが、歯軋りしてしまうほどに悔しい。

彼女がそう思ってしまうのにも、理由があった。
一昨日の晩。
千鶴と安太郎は久方ぶりに交わった。
勿論それは、千鶴にとって穏やかな幸せに包まれた時間だった。
しかしことが終わり、二人で眠りにつこうという時、
何ともいえない違和感を千鶴が襲った。
今までなら、充足感と安堵感に満ち溢れるはずの、
事後のひととき。
しかし彼女の身体は、まるで不足を訴えているのかのように、
寝息を立て始める安太郎を横にして、火照り続けた。
最初は何かの間違いだと思った。
しかしやがてその感覚は、
胸を高鳴らせ、そして身を捩らせた。
夫を起こして、もう一度と求めるかどうか小一時間悩んだ挙句、
結局彼女は夫に背を向け自分で慰めた。
その快楽に没頭しながらも、
彼女は心の中で、「ごめんなさい」と夫に謝り続けた。
その罪悪感が、快感のスパイスになっていることを彼女は気づかない。
心の中で夫への謝罪を繰り返すことは、
それは彼女の意に反して、
より一層彼女を燃え上がらせた。
彼女の自慰の妄想で、彼女を犯していたのは、
一体誰だったのか、それは彼女自身にもわからない。
わからない、というよりは、
その顔を、意識的に描かないようにしていた。
しかし妄想の中で顔が無い男から与えられる快感は、
一週間ほど前に与えられたそれを、
反芻していたことは明白だった。
軽い絶頂を自慰で迎えた千鶴は、
ひとしきりその余韻に溺れた後、
その快感を上回る大きな罪悪感に襲われた。
隣で寝息を続ける安太郎を盗み見すると、
そのまま立ち上がり、そしてシャワーを浴びた。
妄想の中とはいえ、自分が汚されたと思ったから。
それからベッドに戻り、安太郎の腕に掴まると、
口からは、無意識に小さく
「……違うの」と声が零れた。

そして、昨日、今日と、同様の自慰行為を繰り返してしまっている。
それも、夫が自分のために、働きに行っている時間に。
当然、事後のシャワーは欠かさない。
甘い痺れの後に残るのは、嫌悪感と罪悪感のみ。
わかっているのに、我慢することが出来ない。
先ほどは、丁度ことが終わり、シャワーから出てきた後の電話だったので、
毅然とした態度で対応することが出来た。
もし、火照っている最中だったらどうだろうか。
その声を聞きながら、欲情してしまっていたのだろうか。
そんなわけはない。
彼女はそんな愚かな問答に、
馬鹿馬鹿しいと頭を振った。

これから、またあの男に抱かれる。
以前と同様に、顔を苦めるほどの嫌悪感。
しかし、一つだけ違うのは、ほんの少しの、胸の高鳴り。



山本安太郎が時計を見上げると、昼の三時を回っていた。
いつもなら、外回り中なのだが、
今日に至ってはデスクワークを命じられていた。
これは良くない傾向なのではないだろうか。
安太郎は危機感を抱く。
この調子で、千鶴との生活を守れるのだろうか。
いや、たとえ石に齧りついてでも、
守らなければならない。
そう決意をした矢先、携帯電話が鳴る。
外出中の野々村課長だ。
彼はすぐに通話ボタンを押した。

「ああ、もしもし、私だ」
「あ、はい。お疲れさまです」
「すまんが会議の資料作成の補助を頼む。
 詳細は鈴木の指示を仰いでくれ。
 それじゃ、頼んだぞ」

安太郎の返事を待たず、電話を切る野々村。
その横暴さに少し溜息が出るも、
気持ちを仕事に切り替える。
全ては、生活のためだ。



「失礼」
そう言うと、野々村は携帯を折りたたみ、サイドテーブルに投げ捨てた。
そしてその手で、そのまま自分の前にひざまづいている千鶴の頭を撫でる。
先週と同じホテルの、同じ部屋。
すでにシャワーを浴び、全裸の野々村がベッドに腰掛けている。
千鶴は反対に、服を着たままだ。
前回とは違い、白いブラウスに、チェックのスカート。

出会い頭に野々村に、
「ほう、今日は可愛らしい。
 いや前回も充分お似合いでしたが」
と褒められたのに、千鶴は何一つ嬉しいとは思わなかった。
むしろその苦々しい思いで、顔が引きつってしまう。
そんな事わかりきっていたはずなのに、
何故自分は、わざわざ着替えてまで、
このお気に入りの格好で来てしまったのか。
自分でもわからなかった。

初めて舐める、交際している男性以外の、性器。
その味は、シャワーを浴びていることもあって、
特に差異は感じられなかった。
前回は間近で見なかったが、挿入の感触では、
あまり夫と変わらないと思ったが、
こうしてまじまじと見ると、
亀頭が夫よりも、やや大きい。
しかしそれくらいだ。
もしかしたら、硬さも、ややこちらのが硬いかも。
千鶴はそんな事を考えながら、
歯を当てないように野々村を頬張り、
舌全体で裏筋を舐め上げながら、
ゆっくりと首を前後する。
野々村への口での奉仕は初めてだが、
性交渉そのものは、二回目とあって、
特に抵抗なく出来ていたのだが、
「フェラチオ、お上手ですな」
という言葉に、急に恥ずかしくなってしまう。
「山本君に、教えられたのですか?」
不意打ちで狼狽させられた千鶴は、
馬鹿正直に、口を性器から離すと、
首を横に振ってしまった。
「以前お付き合いしてた男性ですか?」
「……し、知りません」
有無を言わさぬよう答え、
そして照れ隠しのように、また咥える。

「そろそろ、服を脱いでもらってもよろしいですか?
 いやなに、奥さんのいやらしい身体が脳裏に焼きついて、
 この一週間ずっと離れなかったのですよ。
 ……ええ、そのまま咥えたままお願いしますよ」

口だけで奉仕をする形のまま、
千鶴はブラウスのボタンを外していく。
(なんかこれ……すごいやらしい……)
時折口から性器を離してしまうが、
その度に咥え直す。
ゆっくりと首を前後させ、
亀頭から根元までを繰り返し唇で愛撫しながら、
ボタンを全部外したブラウスをはだけていく。
スカートを脱ぐ頃には慣れたのか、
咥えたままスムーズにするりと下着も脱ぎさった。



「鈴木さん、こんな感じでいいですか?」
「ああはい。ありがとうございます。
 あとこのデータもグラフ化していってもらっていいですか?」
黙々と、言われた作業をこなしていく山本安太郎。
そんな彼に、声を掛ける鈴木。
「それにしても、山本さん大変ですよね」
「はい?」
「いや全然違う業種の転職って」
「ああ、まぁ、でも自分で選んだ道ですから」
淡々と、そう答える。
「ご結婚されてるんでしたっけ?」
「ええはい。妻が」
「お子さんは?」
「まだですね」
「そうですか。まぁでも多分大丈夫ですよ。
 なんか山本さん、異動の噂もありますし」
「え?」
「いや、なんでも開発の方で急な欠員が出たらしくて、
 前職の経験を見込まれて、って話もあるみたいですよ。
 なんでも課長からの推薦もあったとか」
突然のその話に、山本安太郎の心はざわめく。
その話が嬉しくないわけがない。
しかし彼は、浮かれることなく、目の前の仕事に集中した。
彼にとって、大事なのは、千鶴との生活を守ること。
それだけだから。



「旦那さんとは、もう何年でしたっけ?」
「ろ、六年……です」
「ほう、長いですな。付き合ったきっかけは?」
「合コンで…………知り合って」
「なるほど。あの朴念仁のような山本君も、やはり男というわけですか」
「……人数合わせで……無理矢理……だったみたい、です」
「なるほど、いかにもですな。奥さんもですか?」
「あっ……そこ……」
「ん?」
「そ…そこ……あんっ……だ、めです……やぁっ…ん……」
「奥さんはどうだったんですか?合コンはお好きで?」
「わ、わたしも……付き合いで……んっ……仕方なく」
「そうでしょうな。そういう事をしなくとも、
 奥さんなら勝手に男が群がってくるでしょうな」
「そ、そんな事……あっあっそこだめぇ」
「ご謙遜を。今まで何人の男が、この感触を楽しんできたんですか?」
「い、いやぁっ……あっ…はっ………ぁん」
「ふっ、いやしかし、若い人のくびれは良いもんですな」

野々村の浅黒い手が、好対照な白い千鶴の臀部を掴み、
後背位でゆっくり、ゆっくりと肉棒の抜き差しを続ける。

その問答は、千鶴にとっては屈辱以外の何物でもなかったが、
既に何度か呆気なく絶頂を与えられ、
鈍く痺れる余韻が漂う彼女の頭には、
後ろから自分を貫く男の問いに、
まるで反射のように素直に答えるしか術がなかった。

「何人の男に、この身体を許してきたんですか?」
「あっ、はぁっ……さ、三人…………」
「私を入れて?」
「それは……四人、です」
「私以外はお付き合いした男性ですか?」
「あ、当たり前…です……んっ!あっ!ああぁっ!」
「一人目は?どんな方でしたか?」
「……中学の、頃からの友達で、高校から……やぁっ」
「二人目は?」
「大学の……先輩…………あっ…はぁっ……」
「フェラを教えたのは?」
「そ、その人……ああっ、あっあああ」
「大学の?」
「あっあっ!……んっ、そう…です……」
「誰のセックスが一番良かったですかな?」

その質問に、千鶴の返答が淀む。
別に言い辛い答えだったわけではない。
単純に、誰も一緒だったからだ。
好きな人と肌を合わせるのは、
確かにとても気持ち良く、そして幸せだった。
多少の相性の優劣は有ったのかもしれないが、それは些細な差異だった。
強いて言うなら、二人目の大学の先輩は、
性器がとても大きく、初めは痛いくらいだったと思い出す。
だから、恋人とのセックスは、皆同様に、
気持ち良いと言えば気持ち良かったのだ。

しかしそれ以上でもそれ以下でもなかった。
だから千鶴にとって性欲とは自分で処理するものであって、
それを愛する人に求めるのは、
どこか不埒だとする思う節もあった。

「……わかりません」

だからその返答は、嘘偽りのない返事。

「私のは、どうですか?」

言われるまでもない。
ここまで昇りつめらされるのは、彼女にとっても初めてなのだ。

「わ、わかりません……あっあぁ…ん…」

明確な言葉がなくとも、そのかすれた声で真意を悟らせてしまっている。
千鶴はそれが悔しくて、たまらない。
しかし、もうそれを抑えることが、出来ない。
この快感に、素直に身を委ねてしまいたい。
そんな考えが、何度も何度も、頭をよぎる。
そうすれば、もう何も考えなくてもすむ。
しかしそれは同時に、たとえ一時でも、
愛する人のことすら頭から消してしまうことを意味する。
千鶴は、それが怖かった。
前回の、真っ白な嵐に襲われた感覚。
そのまさに正気を失うほどの快感は、
彼女にとっては同時に恐怖だった。

何故この人のが、こんなに気持ち良いのかわからない。
微妙に毎回腰が浮くような感覚の部位を突かれる性器?
それとも、野々村の言うとおり、
夫を想いながら、他人に抱かれるシチュエーションに、
背徳感に溺れているだけ?
それとも、その両方だろうか。
千鶴は、そんなことを一瞬考えたが、
今はもう、突かれる度に小さく散る火花で、
正常な思考が少しずつ奪われていく。

「山本君とは、いつもどんな風にするんですか?」
そう言いながら、野々村は定期的なリズムでピストンを続ける。
パシっ!パシっ!と乾いた音がラブホテルの一室に鳴り響く。

「あっ!あっ!……ど、どんな?……」
「ええ。体位とか」
「ふ、普通です……やぁっ、あっ、あっ」
「こんな風にバックは?」
「あまり、しません…………あっ、そこ……あんっ!あんっ!」
「それは淡白なセックスをしてらっしゃるようですね。
 こないだも、かなりご無沙汰だったようですし」
「あっ!やっ!そんなっ!んっ!くぅっ!」
「先日私としてから、旦那さんとはしたんですか?」
「そ、それは、あんっ、ああっ!」
「どうなんですか?」
「はっ、はっ、はっ…………んっ、あ、や、やだぁ……」
「教えてください、よっと」
奥まで貫く、大きなピストン。
「……ひゃうっ!……あ、ああぁっ……」
「おや?またイってしまいましたか?」
「あ……だめ……まだ……う、うごいちゃ……」
「ほら、教えてくださいよ」
「だめ、それ……ああぁ……し、した……しまし…たから」
「いつ?」
奥で円を描くように、腰を振る。
「一昨日、です……ひぃっ…あっ…」
「どうでした?」
「ひっ、ひっ、ひっ、そ、それ、やめ……て……」
「どうだったんですか?」
「ど、どうって……わかんない……あっあぁん……」
「例えば、私と比べて、とか」
その下劣な質問に、千鶴の瞳に気力が戻る。
しかしやはり、未だにじわじわと背筋を昇り続けている、
薄い痺れのような余韻に、完全に抗う事が出来ない。
夫のが良いに決まっている。
彼女の感情は、そう訴えているにも関わらず、
しかし、身体は、そう答えることが出来ない。
「そんなの……わかりません」
「わからない、ね。そうですか。それじゃあ……」
野々村は、そう言うと、口元を楽しそうに歪め、
助走をつけるかのごとく、腰を一旦引いた。



「明るそうな奥さんですね」
鈴木は携帯を安太郎に返しながら、笑顔でそう言った。
待ち受け画像を閉じて、
「根暗な私とは正反対なんです。本当根っから明るくて」
と安太郎がはにかみながら返答する。
「ははっ。というか美人で羨ましいですよ。
 うちのカミさんなんて……おっとどこで聞かれているか。やめておきましょう。
 結婚生活は何年目ですか?」
「結婚はまだ一年と少しです。
 ただ付き合いが長いもので」
「そうですか、それじゃあ子育てとかはこれからですね。
 色々大変でしょうが、お互い頑張りましょう」
「ええ。ありがとうございます」
山本安太郎は、手元のコーヒーの残りを啜ると、
一つ大きく息を吐いた。

異動の噂。
もしそれが本当なら、安太郎にとっては是が非でも、という話だ。
しかし淡い期待は自制する。
もう自分ひとりの人生ではない。
足に地をつけて、現実を見据えなければならない。
たかが噂に、一喜一憂している場合ではない。

しかしそれならば、過去の自分の選択は果たして正しかったのだろうか、
と彼は自問する。
今の仕事のまま、自分はやっていくことが出来るのだろうか。
耐えることは出来る。
妻のために、火の中だろうと水の中だろうと。
しかし、それだけのこと。
そんな仕事しか出来ない奴に、未来は無い。
情けないことは言っていられない。
そうはいっても、楽観視など出来はしない。

やめよう。
いつもの堂々巡りになるだけだ。
考えるのは、目の前の仕事と、そして妻のことだけ。



「あんっ!あんっ!あっ!あっ!やだっ!はげしっ!んっ!あぁんっ!」
「どうですか?良いですか?」
「いっ!良い!良いからぁっ!……ダメッ!課長さんっ!……あんっ!あんっ!あっ!」
「山本君と比べたら、どうですか?」
「やっ、やだぁ!聞かないで……あっ!んっ!…おねがい」
「ねえ?どうなんですか?」
より一層激しい、バックからのピストン。
「あっ!あっ!あっ!……だめっ!きちゃう!またきちゃうからぁ!」
「ほらっ!ほらっ!どうですか?どっちのが気持ち良いですか?」
「かっ、課長さん!課長さんのが、良いからぁっ!……ああああんっ!んっ!はぁっ!」
「今まで一番は?」
「か、課長さん!……あっ!ああっ!いっ!あっ!
 課長さんのすごすぎ……だから……いっ!イクイクイクっ!……あああぁっ……」
「好きですか?私のセックス」
「あっ!あっ!あんっ!……や、やだ……聞かない、で」
最後に一握り残った千鶴の気力が、それを認めることを拒む。
しかし野々村は、彼女のために、逃げ道を用意する。
「こういうセックス、好きですか?」
「ひっ!ひっ!…あっ!はぁっ!好き、です……
 これ……すごい……あっあっあっあぁん!」
「これ、とは?」
野々村の腰が、千鶴の腰に打ちつけらる、
鳴り止まない、パシンパシンっ!という乾いた音。
「あっ!ひっ!ひっ!こ、これ!セックス……
 このセックス……ああっ!あっ!はっ!……すごいぃ」

野々村はその返答を聞くと、ピストンを緩め、
千鶴の美しい臀部を撫で回しながら、
「良かったら、今後も、こういう関係続けませんか?
 セックスフレンド、というやつです」
「え?あっ……そ、んな……ダメで……す」
「そうですか。まぁ、いきなりは無理ですよね。
 ま、考えといてください」
「そんなの、考えるまでも……あぁっ……
 ……ああっ、あっ、ひ、あっ!あっ!あんっ!」
「そろそろ、私もイカせてもらいますね」
「あぁっ!は、はいっ、あっあっ!ほんと……すごっ……ああぁんっ」
「背中にかけてますね?」
「えっ?あっ、うん、あっ!いっ!イクっ!あたしもっ、また、あっイクっ!」
「ああ。だめだ、出る」
「いっいい!出してっ!は、早く!……またイクっ!いっちゃう!イクイクイクっ!」

野々村は千鶴の中から、性器を取り出すと、
ゴムを急いで外し、そして千鶴の背中に射精していく。

「あっ、あああっやだ…………熱、い……」

大きく肩を上下する千鶴の手を引き、
力づくで自分の前に寄せる。

「きゃっ……え?」

千鶴の目の前には、まだ半勃で、
先端から白い液体がちろちろと漏れている性器。

「綺麗に、してください」
千鶴は息を荒くしたまま、眉を八の字にして、首を横に振る。
「ほら」
しかし野々村は、それを意に介さず、
腰をさらに千鶴の顔に突き出す。
千鶴は、一瞬の躊躇いを見せると、
舌を出し、そしてその漏れでている液体を舐め取った。

一度、二度と舐め、そして咥える。
もう力が入らないのか、両手はだらりと下がっていて、
口だけで、仁王立ちしている野々村を奉仕する。

やがて、自分の口の中で、また硬さを取り戻す性器を感じる。
千鶴の顎からは、涎が滝のように喉へ伝わり、そして落ちていく。
野々村はそんな彼女の後頭部を両手で抑え、
そしてその口を犯すかのように、
ピストンを開始した。
ガッポガッポと卑猥な音と共に、
泡だった唾液が顎から床へ垂れていく。
腰を振りながら、野々村は尋ねる。
「ほら、ほら。旦那さんとどっちが大きいですか?」
えづくのを我慢するだけの千鶴に、返答する余裕は無い。
そもそも、そのままの状態で喋れるはずもない。
それをわかった上で、野々村はそれを続ける。
「ほら!?ほら!?どうですか?」
野々村が乱暴にピストンをする度に、
千鶴の舌先に、亀頭から漏れ出る苦い液体が押し付けられる。

やがて、野々村が満足したように離れると、
咳き込む千鶴に、
「このままイっても良いんですがね、どうですか?あと一回」
「も、もう……だめ、です……」
そう口にした千鶴を優しく押し倒し、
そして亀頭を、クリトリスに擦り付ける。
「ほら?どうしますか?」
「……だめ、です……んっ……ふっ……」
千鶴の背中は、弓のようにしなり、
拒絶する声も、甘く蕩けきっている。

野々村は、粘られても厄介だな、と思い、
千鶴が奥底で、望んでいる言葉を掛ける。

「これは、取引ですよ?私の機嫌を取っておいて、損はないと思いますが」

脅されて仕方なく、という言い訳を、千鶴のために用意してあげた。
この期に及んでは、旦那の為、というのは上手くない。
出来る限り、旦那のことは意識させない方がいいだろうと、野々村は考えた。

千鶴の表情からは、諦観の色合いが浮かぶ。
しかしそれは同時に、何か気負いのようなものが取れたふうにも見れる。

野々村のその言葉に、千鶴の頭で、何かが切れてしまった。

彼女は視線を横に振ると、
「ゴム……だけ」と呟いた。
「勿論です」
野々村は左手でクリトリスを撫でながら、
右手でゴムを取り寄せた。



安太郎は時計を見上げる。
そろそろ定時だ。
最近は、意味無く残業をする社員に目が厳しい。
しかし目の前の仕事は、明らかに定時までには終わらない。
鈴木の表情にも、明らかに焦りの色が見える。
「山本さん。すいませんけどちょっと残業してもらっても大丈夫ですか?」
「ええはい。勿論です。一応私から、課長に経過報告しときます」
「ああすいませんね。お願いします」
安太郎は携帯を取り出すと、野々村へ電話を掛ける。
2、3度とコールが鳴り、そして諦めかけたその時、
野々村の声が聞こえた。

「もしもし。私だ」
その声と同時に、微妙に何かが軋むような音が聞こえてくる。
あと猫の鳴き声?
わからない。
それを無視して、安太郎は続ける。
「山本です。お疲れさまです。会議資料作成の件ですが、
 もう少し掛かりそうなので、残業して終わらせます」
「そうか。ご苦労。終わったらまた連絡をくれ」
「わかりました。失礼します」



「たびたび失礼」
野々村はそう言うと、携帯を脇に放りなげると、
その手で騎乗位をさせている千鶴の胸を下から揉みしだく。
千鶴は、その電話が夫からのものだとは気づいていない。

「いや、本当に弾力があって、触り甲斐のあるというか」
寝そべる野々村に対し、丁度直角になるように、
背筋を伸ばして野々村に跨った千鶴は、
下から乳首をいじられ、その度に小さく身を捩りながらも、
戸惑いの表情を浮かべる。

「どうしたんですか?動いて下さい」
野々村のそんな声にも、やはり自分から動く事が出来ない。
「ほらっ!」
「あぁんっ!」
下からの一突きで、千鶴の背中は大きく仰け反る。
そのたった一突きの余韻を、全身で噛み締めながら、
千鶴はまた憂いのある表情を浮かべ、
野々村を熱のある視線でじっと見つめた。
「なんですか?」
突き放すような、野々村の口調。
「あ、あの…………て」
「は?」
「動い……て下さい」
「奥さんが好きに動いてもらって結構ですよ。
 奥さんの中はぎゅうぎゅうですからね。
 私はこのままでも充分気持ち良いのですよ」
「そんなの……無理、です」
野々村は、鼻で笑った。
「先ほど後ろからしてた時も、奥さん腰を振ってましたよ?」
その言葉に、さらに顔を赤らめる千鶴。
「そっ!そんなこと、あっ!あぁん!」
彼女の言葉を全て待たず、野々村は彼女を突き上げる。
「こうですか?」
千鶴は返事が出来ず、ただ黙って、恥ずかしそうに頷いた。
「そんな返事では、ダメですな。
 ちゃんと頼む態度、というものがありますよね?」
「だ、だから……動いて……下さい」
「それじゃダメです」
「じゃ、じゃあ、どうしたら……」
「私が気に入りそうな言葉で、お願いしますよ」
「そんな……」

千鶴は下唇を噛むと、一瞬迷いを見せた後、
首を横に振って、顔を野々村から逸らして、
自らゆっくりと、腰を前後させ始めた。
それは野々村にとっては、刺激になるかならないか程度の穏やかな動き。
しかし千鶴にとっては、ただでさえ相性の良い肉棒を、
自分の意志で、ピンポイントで自分の秘部を擦らせることが出来た。

ゆっくり、ゆっくりと腰をグラインドさせる。
両手を野々村の胸に置き、なすりつけるように、腰を振る。
やがて訪れる、自ら向かった絶頂。
野々村に跨ったまま、千鶴の身体が軽く痙攣する。
自分のペースで達することが出来た彼女は、
益々舞い上がり続ける火照りを感じる。
野々村に急激に落とされる感覚が爆発なら、
それは草原で徐々に燃え広がる延焼。
甘い痙攣の中、爆発を求め、さらに腰を前後させていく。

それを二度、三度と繰り返し、千鶴は上半身を倒し、
そしてついに、自分から野々村の唇を求めてしまう。
ひとしきり舌を絡め合い、唾液を交換すると、
ぴたりと上半身をくっつけたまま、野々村の耳元で、
「課長さんの、おちんちん、下さい」と囁いた。
「もう根元まで、奥さんの中ですよ?」
「やだ……意地悪、言わないで…………あぁ、あっ、あっ、あっ」

千鶴のその言葉に満足したのか、
彼女の美しく、ハリのある乳房の感触を胸で受け止めながら、
臀部を激しく掴み、そして徐々に強く突き上げていく。

「あっ、あぁ、あっ、はっ、はっ、ああっ」

千鶴のキメ細やかな肌は、すでに全身じっとりと汗で濡れている。

「こうですか?」
「あっ、はい、あっ、そこ、ああぁ、そこぉ、あっ……はぁ、ん」
「ここ、弱いですよね」
野々村が、少し突き上げの角度を変える。
同時に、千鶴の背中に走る電流。
「あぁはいっ!……そこ、だめ……です」
「好き、ですか?」
「やぁっ……わかんない……あぁ、あっ、ああぁん」
「好きですか?」
「ああもう……あぁ、あっ、好き、あっあぁ、そこ、ああぁ」
「私の、コレ、好きですか?」
より一層ゆっくり、しかし大きく突き上げながら、
そう問う野々村に対し、
千鶴は、ゆっくりと、首を縦に振った。
「これ?」
「う、うん……あ、ああっ、それ、ああだめぇ、やっ……んっ」
「何が、ですか?」
千鶴は両腕を、野々村の首に回し、そしてさらに、
その乳房を、野々村に押し付ける。
「お、おちんちん……課長さん……の、おちんちん
 ……あ、あぁ、いいぃ……奥、いい……はぁぁ」
「好きなんですか?」
「好き……だって、これ、すごすぎ……課長さんの、おちんちん……好き」
「私のセックス、良いですか?」
「んん、やぁ、意地悪、言わないでぇ……あぁ、あっ、はぁん」
「教えてくれたら、もっと動いてあげますよ」
「……だめぇ、そんな、ああぁ、あっ、でも……」
「でも?」
「……あぁ、やぁん…………してほしい、かも……あん」
「なら、ね?」
「やだ、そんな、だめ、です、ぜったい、あんっ、
 課長さん、すごい……ね、お願い、して、ああぁん」

野々村も限界が近づいていた。
激しいピストンを始める。
それに伴い、野々村の口調にも変化が訪れる。

「ほらっ!ほらっ!どうだ千鶴?これか!?」
「ああっ!これっ!……あっ!あっ!あぁんっ!あっ!はぁっ」
「どうだ?ん?」
「いいっ!あっ!すごい!おくっ!あっ!はっ!あぁんっ!」
「旦那より良いだろ?千鶴?なぁ?」
「あんっあんっあんっ!あっ!……やだっ!あんっ!あっ!はぁっ!」
「良いんだろ?」
「はぁっ……あんっ!いいです!主人……より、いいっ!あんっ!あんっ!」
「何がだ?言ってみろ?」
「お、おちんちん……ああぁっ!んっあっ!セックスと、おちんちんが、いいっ!」
「もっとしたいだろ?」
「あっ!やっ!それは……あぁ!だめそこぉっ!きちゃうっ!あぁぁっ!」
「延長するぞ?いいだろ?」
「あっだめ!……晩御飯……んっ!んっ!あっ!はぁっ!」
「旦那なら今日は残業だ。夜遅くまで掛かるだろうよ」
「え?うそっ!あっあん!はぁ、だめ、もう、くるっ!きちゃうっ!
 イクっ!……あぁっ、イっちゃう!……イクイクイクイクっ!ああああああぁっ!」

より一層、身体を野々村に密着させ、千鶴の身体が大きく震える。
先ほどまでの、自分で与えた絶頂とは違い、
逞しいオスに導かれる、爆発のような快感。
彼女は何も考えられない。
視界は白い世界を漂うだけ。
耳が捉えるのは、自分の荒い息遣い。
押し付けられた乳房が、相手の鼓動を捉える。
そしてそんな薄れた意識の中、
自身の性器が、男の性器を愛するかのように、
強く強く収縮を繰り返し、
そしてそれに促されるかのように、
相手の性器が一瞬の膨張の後、
何かを放ったのを明確に感じた。

(……早く、抜かないと、ゴムが……)

わかっているのに、男の上からどくことが出来ない。
気がつけば、先日と同じように、
野々村と貪りあうように、唇を交わし、舌を絡め、
唾液を交換することに没頭してしまっている。

そんな最中、千鶴の携帯が鳴る。
千鶴と唇を合わしながら、野々村が言葉を発した。

「旦那かもしれんぞ」

千鶴はその言葉に、頭から水をかけられたかのような衝撃を受ける。

(あたし……なんてこと……)
一度に大量に遅いくるう、かつてないほどの罪悪感。
(違う……違うの……こんなの……違う)
多少冷めた彼女の頭は、
未だに自身の膣内でひくひくと震える、
男性器の感触に気づく。
千鶴は慌てて抜こうとするが、
野々村の手がそれを抑える。
力がろくに入らないため、それを払いのけることは出来ない。

「ほら千鶴、早く出ないと」

そんな幼稚な悪戯に、怒りを覚える余力すらない千鶴は、
そのままの状態で、何度か大きく深呼吸を繰り返して、
通話ボタンを押す。



「あ、もしもし?俺だけど」
「……あ、うん。どうしたの?」
まず最初のその声で、安太郎は違和感を覚える。
上擦った、どこか熱を帯びた声。
「どうした?風邪か?」
「あ、ああ、うん、どうだろ、ちょっと、だるい、かも」
「そうなのか?残業だから遅くなるって話だったんだけど、
 やっぱり帰ろうか?」
「……」
「もしもし?」



野々村が、下から口を開けて、無言で千鶴の唾液を要求する。
千鶴は安太郎の声を聞きながら、その口に、唾液を垂らした。



「……あ、ごめん。もしもし?ううん大丈夫。ちょっと、しんどいだけだから」
「……本当か?」
「うん。本当、だよ。あれだったら、お母さんに来てもらうから、お仕事頑張って」
「そっか。わかった。何かあったら、すぐ電話しろよ?」
「うん。ありがと」
安太郎は電話を切ると、『お仕事頑張って』の声が頭の中でリフレインする。
どれだけ心配させているんだ、と自分の無力感に苛まれる。
早く終わらせて、さっさと帰ろう。
安太郎は、休憩そっちのけで、キーボードを叩く指を加速させた。



膣内から引き抜かれた性器に被せられたゴムからは、
なんとか精液は漏れてはいなかった。
しかし千鶴の頭は重い。
それは、絶頂の余韻だけではない。

(あたし、何してるんだろう……)

幾度と無く繰り返したその自問。
千鶴の顎を、野々村が優しく掴み上げる。
千鶴は、もはや抵抗が出来ない。
今から訪れる快感を、知ってしまっているから。
「お返しだ」
野々村と唇を合わすと舌伝いで、
とろりと暖かい粘液が口の中に入れられる。
その感触だけで、下腹部が疼く。
その味を、もう身体が覚えてしまっている。
喉を通り、それが胃に到達すると、
頭の奥から、もやもやとした興奮。
それに素直に従うと、今度は自分から、
野々村の舌に、自分の唾液を置く。

「千鶴。延長するぞ?いいな?」

野々村のその言葉に、涙が零れる。

(ごめんなさい)

千鶴はそう心の中で繰り返しながら、
野々村と見つめあうと、ゆっくりと頷いた。
そして、恋人のような、優しく、甘いキス。
唇を触れ合わせるだけの行為を、
一度、二度と繰り返す。
それは、やがて両手で数え切れないほどの回数に達した。
すればするほど、千鶴の胸は高鳴り、
そして涙が溢れた。

野々村が、内線電話を取る。

何かを喋っている。

千鶴は、その腰に頭を埋め、そして野々村のペニスを咥えた。
安太郎では擦ってくれない、
まさにぴったりと当てはまるパズルのピースのようなそのペニスを、
まだ漏れでる精液と共に、愛しそうに舐め上げる。



時計を見上げる。
「もう八時か……」
安太郎はそう呟く。
しかしもうそろそろ終わりが見えてきた。
先ほど千鶴にメールをしたら、
『大丈夫だから、仕事に集中してね。
 帰りも、急いで事故しちゃったら絶対嫌だよ?』
との返事。

焦る必要はないかと、最後まで集中を切らさないよう一息を入れる。
そこに、見た事もない白髪交じりの社員に声を掛けられる。
どこかで見た事がある気がする。

「山本君とは、君のことか?」
「あ、はい。えーと……」
「私は本田というものだ。一応、開発のほうで課長をやっとる」
「あ、ああ。お疲れさまです」
「ああお疲れ。もう聞いとるかもしれんが、
 近いうちに自分の部下になる男を見ておきたくてな」
「……は?」
「なんだ、聞いとらんのかね?
 君は次の異動でウチに来るんだよ。
 こっちで急な欠員が何人が出てな。
 急いで補充しないとまずいんだよ。
 前歴からすると、妥当だろう。
 営業しとる場合じゃないだろうに」
本田と名乗った男は、それだけ言うと、
ぽかんと立ち尽くす安太郎の肩を叩き、
「それじゃ、これからもよろしくな」
と笑い飛ばすと、踵を返して去って行った。

「ああ、噂は本当だったんですね。
 おめでとうございます、で良いんですよね?」
鈴木のそんな祝いの声も、安太郎の耳には届かなかった。
不神論者の安太郎は、ガラス越しの夜空を見上げ、
今まで支えてくれた千鶴に感謝した。



「ああっ!あっ!あっ!そこっ!あっ!課長さんっ!あんっ!」
「どうだ?ああ?」
「あっ!あっ!あんっ!あっ!……す、すごい!それすごいのっ!」

激しく軋むベッドの上で、激しく求め合う二人。
その行為に、一欠けらの愛も無いが、
千鶴は今まで感じたことのない快感に溺れていた。

「あっ!やだっ!あっあっ!課長さん!課長さん!やだやだぁっ!」

千鶴の愛液でなんの抵抗もなく、
しかし確かな締め付けを感じる野々村の性器には、
もはや一切の避妊具は着けられていない。
数分前、リトリスに擦り付けられる、赤黒く光る亀頭を、
千鶴は蕩けきった顔で見つめながら、
それを許す言い訳を探した。

「あっ!すごい!おちんちんすごいっ!……課長さんのおちんちん好きなの!
 あたる!そこっ!そこすごい良いのっ!……あっあんっやだ気持ち良いぃっ!」

『接待』のため。
安全日だから。
絶対に外に出すと、約束されたから。
万が一中で出されても、
もう何度も射精してて薄いから。

「あっん!はぁっ……こんなの、初めて……あぁんっ!はっ、あっ、あぁん」

もうそんな事は、どうでも良かった。
ただ与えられる快感に、身を委ねるだけ。
しかし、時折頭をちらつく、愛する人への想いが、
彼女を現実に引き戻そうとする。

「……うん、課長さんのが良い!課長さんのが気持ち良いのぉっ!
 あっ!あっ!んっ!あっ!はっ!あぁんっ!……あんっ!あんっ!あんっ!」

そうして絶え間無く襲われる罪悪感の中で、
彼女はそれから目を逸らすため、肉欲に没頭する。

「うんっ、あっ、な、なる……なるからぁっ!セックスフレンドになる!
 雅之さんの、あっあっああっぁん!セフレになる、からぁっ!」

愛してる。
愛してるから。
何も隔つものが無く、野々村と性器を擦りあいながら、
本能からくる、気を失いそうなほどの快感を与えられながらも、
心の中で安太郎の事をそう想い続け、
しかし、耐え切れない肉欲に流され、
千鶴の身体は、野々村を求めた。

「いっ、いいっ!いいからぁっ!出してっ!うんっ!いいから!もう、出してっ!イって!
 雅之さんっ!きてぇっ!……あ、ああっ、イクっ!あたしも、いっちゃうっ!
 …………あっ、イクイクイクっ!……いっ、くぅっ!……あ、あああああぁっ!!!」

自身の奥底に、注ぎ込まれる熱い何か。
それは、快感だけでは何か。
雌としての本能も満たされる悦び。
身体だけが、多幸感に包まれる。

「ああすごい……熱い……雅之さん、雅之さん……ああ、出てる
 ……あ、まだ……すごい……こんな……」

それを与えられた千鶴は、
更にそれを求めるかのように、
自ら腰を男に押し付けながら、
満たしてくれた目の前の男の名を、
甘く、何度も呼ぶ。
その間、他の誰のことも、彼女の頭にはない。



野々村が、会社に戻る頃には、殆どの社員が帰宅した後だった。
(あまり遊んでばかりいると、流石に不味いな)
そう自嘲気味に笑う。
すると、廊下で見覚えのある部下とすれ違う。

「あ、お疲れさまです」
「ああお疲れ。これから帰りか?山本君」
「はい……あの、そういえば、異動の件、ありがとうございました。
 野々村課長からの推薦もあったと聞いてます」
そう言うと、安太郎は頭を下げた。
野々村はそれを照れくさそうに手の平で制すると、
「いや、まぁ適材適所ということだな。
 それよりもほら、早く帰ってやれ。
 まだ新婚だろ?
 あんな奥さん放っておいたら虫がわさわさ寄ってくるぞ?」
と笑いながらそう口にした。

もう一度頭を下げて、小走りで帰っていく安太郎の背中を見て、
野々村は鼻で笑う。

(ただのイチ課長に過ぎない私にそんな力があるわけないだろうに)

そう、安太郎の異動は、既に規定事項だった。
それこそ、野々村が千鶴と会う前からの。
その人事を知った野々村が、出来の悪い社員とその妻を、
最後にひやかしに行ってやろうと思ったら、
そこには予想外の上玉。

既にほぼ決定していた話を、取引のように持ちかけただけ。
千鶴に確認の術はない。
何より、異動は実際に上手くいったのだ。
向こうも事を荒立てたくあるまい。

ただの火遊び。
それにしては、少々度が過ぎてしまっていると反省。
会社を抜け出すのは容易いが、
安全日とはいえ、流石に数度に渡っての中出しは不味い。
信号待ちの度にした、帰りの車の中でのキスもそうだ。
誰かに見られていたらと思うと、
今更ながらにぞっとする。

しかし、しばらくは止めれそうにない。
それほどまでに、抱き心地の良い身体だった。
時折見せる、反抗的かつ、憂いのある表情もそそられる。
何より、この何ものにも耐え難い、背徳感と優越感。

会社の廊下を歩きながら、先ほどまで堪能した身体を反芻する。
それだけで、また勃起の予兆すら感じる。
もう何度目だろうか。
まるで学生時代だ。
それだけ、あの女には、かき立てられる。

帰りのホテルのエレベーターを思い起こす。
しばらく無言で二人で乗っていると、
向こうから私の指をそっと触り、
潤んだ瞳で見上げてきたから、
キスをしてやると、甘い声を出して舌を求めてきた。
それが一通り終わると、
泣きそうな顔で俯いて、
「あ、あの……その…………つ、次は……」
と消え入りそうなか細い声。
「ああ、また連絡するよ」
その返答に、指をもじもじとさせる千鶴。
そして、すっと顔を上げると、
自分から軽くキスをしてきて、
また視線を逸らし、
「……はい」との返事。
「千鶴」と名を呼んで顎を掴む。
潤んだままの瞳で、「雅之……さん」と千鶴。
もう一度濃厚なキス。
私の両腕は千鶴の細い腰を抱き寄せ、
千鶴のそれは、私の首に回された。
一階に着いても、それは止められなかった。
それほどに、甘く情熱的なキス。
それで軽く興奮してしまったのか、
半勃起してしまったので、駐車場の車の中でフェラをさせた。
自信が無いのか、何度も私を伺うように見上げてきた。
その度に、頭を撫でて、上手だと褒めてやると、
安心したように咥えなおしていたな。
フェラチオは、何度も中出しした性器を掃除させながら充分仕込んだが、
素直なせいか、まだまだ仕込み甲斐がある。
イキそうなことを伝えると、一度口から離して、
切なそうな表情で見上げてきたが、あれは挿入れて欲しかったんだろう。
それを無視して、頭に手を置き、そしてフェラを再開させた。
そのまま口に出し、そして飲ませた。
飲んだのは初めてだったようで、
何度か喉を鳴らして苦戦していたが、
やがて全て飲み干すと、
「うわぁ……苦い」とかすれた声で囁いていた。
「また飲んでくれるか?」と尋ねたら、
「え?あっ……もう、やだぁ」と慌てていたが、
もう一度尋ねると、恥ずかしそうに唇をきゅっと結んで、
こくりと頷いた。

その仕草全てが、たまらないほどに可愛らしかった。
自制を利かせられるだろうか?
本来慎重な性格の野々村が、そう自問する。
その瞬間、先ほど家まで送っていった千鶴からメール。

『やっぱり、これ以上課長さんとは会えません。
 さっきのあたしは、どうにかしていました。
 これで、終わりにして下さい』

家に帰り、頭が冷え、我に戻ったのだろう。
というよりは、罪悪感が快感の余韻を一時的に上回っただけにすぎない。
その拒絶は、こちらから強く押せば、
いとも簡単に崩れるだろうが、
しかし完全に落ちていなかったのは素直に残念だと思った。
しかし、丁度良い区切りと思うしかない。
これ以上火をつけるのは危険だろうと判断。
野々村は静かに携帯を閉じた。



山本安太郎の足取りは軽い。
まるで羽がついているのかと思えてしまうほどだ。
遅くまで残業したとは思えないほどの身の軽さ。
玄関のドアノブを握り、そして引く。
その程度の動作ですら、じれったい。
早く妻に、報告をしたい。

靴を脱ぎ、廊下を早足で歩き、そしてリビングの扉を開ける。
少々乱暴に開けてしまったのか、
背中を向けて食卓に座っていた千鶴の背中が、
大きくびくっと震える。

安太郎は言葉に詰まる。
気持ちだけが先行してしまった、
なかなか今の感情を表現出来ない。
変な静寂がリビングを包む。

千鶴は千鶴で、ゆっくりと、
恐る恐るとしか振り返れない。
いざ振り返っても、その視線はまず床を捉え、
そこから、やはり恐る恐ると、上を向いていった。

「あ、あの、その、おか、えり」
弱々しい、そして何かを探るかのような千鶴の声。
そういえば、体調が悪かったことを思い出す。
こころなしか、目が赤い。
「身体は?大丈夫か?」
自分の報告よりも、まずは千鶴のことを気遣う。
「あ、うん。全然。ほらほら」
千鶴は立ち上がると、引きつった笑みを浮かべ、ぶんぶんと腕を回した。
その様子にほっとするも、どこか様子のおかしい千鶴を訝しげに思いつつ、
しかしやはり、この報告を後回しにするわけにはいかない。
その吉報を伝える。
千鶴も急な話現実感が無いのだろうか。
唖然としてその話を聞いている。

安太郎は、つい照れくさくなって、頭をかく。
「いや、あはは。こういう事って、あるもんだな」

千鶴の目からは、もう枯れ果てたはずの涙が、一筋流れる。
そして、安太郎の胸に飛び込む。

安太郎は、そんな妻の頭を撫でながら、
「ありがとう」と口にした。

千鶴は、安太郎の胸の中で、
「愛してる。愛してるから。
 あなただけ、なんだから」
と何かに縋りつくように、
もしくは、許しを乞うように言った。

その言葉を聞いた安太郎は、
不思議そうに首を傾げながらも、
「うん。俺もだよ。愛してる千鶴」と返した。

安太郎の胸の中で泣き続ける千鶴が感じるのは、
何度もシャワーで洗ったはずなのに、
今更下着の脇から漏れ、
そして太股を伝い、
膝まで流れ落ちる精液の感触。

それは、彼女の罪の証拠なのか、
それとも、夫への愛の証。

それは彼女自身にもわからず、
ただ愛する人の胸で、嗚咽を漏らし続ける。



おわり


4作目です。あまり脅迫系は好きじゃないのですが、今後も寝取られ系のシチュは一通り網羅していきたいと思ってます。

終わり方は賛否(というか否)が多いのではないかと思ってます。
ズルズル続けちゃうのは大好物ですが、今回に限っては無しと判断しました。
それでも、たとえエロが無いにしても、お話として後日談でもっと綺麗に纏められるだろ!とは自分でも思いますが、
ただ自分は面白い話が書きたいのではなく、単純に抜ける話が書きたいので、
前振りの部分はともかく、後日談にエロが無い日常シーンを書くのは苦痛でたまりません。
抜けるけど面白くない:面白いけど抜けない=100:0で前者の評価のが嬉しいです。
ですので、修羅場や復讐劇を期待されている方には、申し訳ありませんが今後もご期待に添えそうもありません。
次が人妻3部作の最後です。作者大好きなマジカルチンポ&ビッチ萌えです。
それでは、読んで頂いて、ありがとうございました。



20:34 : 投稿作品 : comments (32) : trackbacks (0)
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Comments

綺麗に終わっててイイ感じです。

出来たら、どこかのタイミングでバレるバージョンも見たいかな?
...2011/08/07 09:32 PM
今までのと比べると興奮は薄かったかな。
次も期待してるわwがんばってくれ
...2011/08/08 12:11 AM
他の3作品はどこで読めますか?
凄く良かったです。
...2011/08/08 12:18 AM
今回の付け加えでさらにバレるバージョンが個人的に一番見たかったですが。
けど、そうなると修羅場や復讐劇になってしまうからダメかな?
...2011/08/08 12:23 AM
>他の3作品
このブログの右上部のCategories→投稿作品で辿ればおk
...2011/08/08 12:30 AM
見ることできました。ありがとうございました。
...2011/08/08 12:57 AM
脅迫系は好みじゃないんで
興奮度合いはやや薄かったかな
性描写の割合が多いのはよかったw
個人的にはもうちょいボリュームほしいけど
作者さんの好きなようにやってくださいw
次のビッチにも期待してますー
...2011/08/08 01:02 AM
確かに、自分も脅迫系は興奮しにくいでもこのラストはかなり良く出来ている。
やっぱり夫、彼氏なりへの罪悪感という言葉より重い悔悟、慚愧という言葉が当てはまる後悔は、パートナーへの愛情・絆が、感じられて寝取られ行為自体が引き立つと思う。堕ちそうで堕ちない!ドキドキ、葛藤しているのがが良い。
この感想については、かなり反対意見もあるだろうけどラストが完堕ち系は、もう心何も無いから自分としては興味が無くなるからあっそうという感じになる。
半堕ち系ラストも嫌いではないが、残念尿管が残り作品単体としてはあんまり・・・シーン的には盛り上がるとは思う。

とにかくこの作者さんの中で、このラストはかなり好きです!
和姦系でもこんなラスト作品読みたい!
...2011/08/08 02:57 AM
この投稿シリーズが終わった後で、後日談が読みたいです。悲惨なままもあれば、修羅場ってるのもあるでしょうが。

これまでの作品はヒロインの中に間男に対して、元々、好感情があるのが前提だったけど、本作品は完全に肉欲だけですよね。だからか他よりも読んでて苦しくはないかなあ。
...2011/08/08 04:08 AM
あ、他のシリーズ含めて後日談がよみたいってことです。
...2011/08/08 04:10 AM
後日談が読みたいってことはこの話の結末が不満ということかな?

例えばこの後実は野々村ので妊娠してしまって修羅場になったとかいろいろ過激なラストの方がよかったとか?
...2011/08/08 07:25 AM
いや、この話に限らず、この作者さんのシリーズの後日談が読みたいって話しです。特に千佳と枝里子の話は後日談が読みたいかなと。

この話は、千鶴が夫への罪悪感と夜の生活の物足りなさをどう葛藤して解決するかは気になる。終わり方に不満は無いです。ただ、その後が気になるかなって。

単純に課長に連絡取って再開じゃ、ありがち?過ぎると思うのですが、それしかないですかね?夫に打ち開けられずに悩む妻、妻の異変に気付いた夫との間で、色々あっても面白いと思うのですが…
...2011/08/08 12:38 PM
今回は課長が寝取りにきましたか、中年おっさんの活躍も良いですね。
次回作ビッチ萌え期待しています。
...2011/08/08 02:23 PM
あと1回抱かれてたら堕ちてた。ギリギリって感じでイイ!
...2011/08/08 03:26 PM
次は年下に籠絡されるのとか書いてくれたら嬉しい
まあそれは置いておいても次回作も楽しみにしてるよ作者さん
鬱勃起できて最高です
...2011/08/08 04:51 PM
関係ないけど賢者の贈り物は微妙に違わないか?w
...2011/08/08 05:38 PM
脅迫系も大好きなんですごく良かった
なかなかキツい皮肉の効いたタイトルもいいスパイスになってるね
 ...2011/08/08 07:28 PM
罪悪感に負けて、自分だけ救われる為に旦那の心中も思いやらずにどんなことをされたのか事細かに語る浮気告白があればよかったなーと。
やっぱりパートナーがまったくの蚊帳の外だと寝取られって言うより単なる浮気ものって感じがします
...2011/08/08 09:55 PM
>やっぱりパートナーがまったくの蚊帳の外だと寝取られって言うより単なる浮気ものって感じがします
同感です。
寝取られる側のリアクションが重要で、それが無いと寝取られにならない。
...2011/08/08 10:36 PM
沢山のご感想ありがとうございます
リクエストに応えたわけじゃないですが次の間男は年下です
後日談については期待なさらない方がご賢明かもしれませんし、そうでない場合もあるかもしれません
上のコメントで書かれているような寝取られ観に対するご感想ですが、最近自分の嗜好がわかってきたので、次作の後書きにでも書いてみます
それでは、また
作者です...2011/08/08 10:52 PM
好きなようにやったらええんやで
ヒロインは巨乳でええんやで
...2011/08/09 01:48 AM
次回はビッチか、じゃあ適当に読むか
...2011/08/09 10:00 AM
キャラ付けや構成は過去作の方が好みでしたが、エロ描写がパワーアップしてるので今回も全然ヌけました(*´Д`)いつもありがとうございます。

課長さんのチ○コは巨根って設定でも良かったのではないかと思いました。間男には(性的な意味で)小物感が無い方が良い気がします。明確に比較できる分、素直に悔しいですし。悪役には 才能>努力 でいて欲しいというか。個人的な感想ですが。

自分は作者さんの書く、狡くて下半身に正直なヒロインがツボなので、今回のような脅迫的な動機だと、ちょっと重いような気がしました。嫌々の割にはいつも通りエロ可愛くなっちゃったんで、物語自体とちょっとギャップがあったかなと。(最初の「イク」って台詞も、もっと課長さんに誘導して欲しかったです)
だからこそ、ああいう終わり方なのでしょうが。

次回作も期待してます。
というか、有料でも良いレベルw
...2011/08/09 10:04 PM
こういうシンプルな導入とかの方が良いよw
作者はエロシーンの描写がうに並みに上手いから簡単な設定の方が良いw
叩きとかも減るだろうしな
...2011/08/10 03:18 AM
いわゆるありがちなパターンって感じでしたな
いやいやシンプルなのも好きですよ
...2011/08/10 04:48 AM
作者さんの作品には毎回お世話になってますw
自分もマジカルチ○ポ&ビッチ大好きなんで
次回作期待してます!
...2011/08/11 01:12 AM
良かったです、嫌々しょうがなく…というシチュが好きな私にはツボでした
良くを言えばもう少しジワジワ落してもらえると良かったかな
後、個人的な要望なんですが、一度周囲の目を一切気にしない独りよがりの作品を書いてもらいたいです
作者さんのNTRのツボが詰まった作品を読んでみたいなと思いました
創作は始めるのも書き上げるのも凄くパワーが必要だと思うので
簡単に言うな!とか思うかもしれませんが、是非ご一考お願いします。
...2011/08/11 03:21 AM
タイトルがハリーポッターみたい。
ヴォルデモート...2011/08/11 03:05 PM
「言ってることと、やってることが正反対」
がこの作者さんの女性キャラの特徴ですよね。
で、この正反対が実は本音だよねって話。

千鶴だって、性的に淡泊って言いながら週一は自慰してるし、
1回目のセックスで意識を飛ばしてしるんだから、
2回目があれば、どうなるか分かってるハズなのにホテルに行ってしまう。

罪悪感&嫌悪感がある云々なんて言ってるけど、
本音は、あの絶頂感が忘れられない、もう一度味わいたいってとこ。

そりゃともかく絶倫の課長さんが羨ましい。こんなに出せないよ(笑。
...2011/08/16 09:41 AM
こういう寝取られ女が自分で関係に線を引いて戻ってゆくのが綺麗に纏まってて好き
寝取り野郎にも自制心があって自己保身のためとはいえリリースしてやるのも良い
多分2作目で寝取り野郎が社会的名リスクを顧みないことの指摘があったからかな?
主人公が蚊帳の外でも寝取られてる事実があれば寝取られモノとして成立してると思う
俺なんか自分の女が過去に別の男とヤってるというだけでも寝取られ気分になるし
知り合いが元カノの今カレと一緒に飲んでる時に
今カレが「最近ローター仕込んだ」とか言ってるのを
「マジでー!?」とか言って笑ってる知り合いにものすごいテンション上がった
ソイツ今でも元カノ好きで、そのせいで新しい恋人つくれないでいるのに


相思相愛でなきゃ寝取られじゃないって縛りがなければ
あまり特殊なシチュエーションを作らなくても
こんな感じで日常に寝取られ要素は溢れてると思う
  ...2011/08/18 10:18 AM
ぐっじょぶ。設定は好みと違うかなと思ったが実用できた。結末もよい。
...2011/08/26 07:08 PM
何回も読んでるうちに好きになってきたわ
...2012/06/15 01:32 AM

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